密着1週間 大金持ちの中国人ニッポン「爆買い」ツアー すべて見せます 家電・エルメス・土地、そしてオンナ

週刊現代 プロフィール

劉社長の真剣な表情を見て、店員が「どうぞ向こうの席でゆっくり座ってご覧ください」と促す。

場所を移して、店員がくれた飴を舐めながら、劉社長が宝石を検分する。店員は、「カラット、カラー、クラリティ、カットとも申し分ない品でございます」と緊張気味にフォローする。

「よし、二つとも買った!」

劉社長が決めると、二人の店員は揃って90度の角度で頭を下げた。

その後、「少しマケてくれ」と劉社長が注文をつけて、店員が店長と思しき人物に電話を入れた。「二点で1割引きにさせていただきます」。

劉社長は「好的」(OK)と喜んで、VISAと銀聯カードが一緒になったゴールドカードを店員に渡した。店員はカードを受け取って、再び店長に電話したが、汗を掻きながら戻ってきた。

「上の者が現金でないと販売しないと申しておりまして……」

「何だと?」

劉社長は秘書にカードを渡し、近くの銀行に行って日本円を引き出してくるよう命じた。

待っている間、横では上海人の若い親子3人が、宝石を物色していた。小さい娘が「アタシこれがほしい」と指さすと、父親は「小学校の入学祝いだぞ」と言って購入した。9万9800円の金のネックレスだった。

秘書と王君が息せき切って戻ってきた。

「セブン銀行は、銀聯カードで日本円が引き出せると宣伝しているくせに、1日たった20万円しか引き出せないそうです」

結局、計3290万円の幻の買い物となってしまった。劉社長は「また近く来るから残しておけよ」と捨てゼリフを吐いて出ていったのだった。

「田園調布を買い占めたい」

冬風が肌寒い日の午前10時前、一台の高級SUV車が、東京・丸の内のフォーシーズンズホテル前に停まった。上海の日系不動産会社に勤める胡立群氏(35歳)は、車から降りて「顧客」を迎えに行った。

しばらくして、上海や重慶などでホテル経営を手広く営んでいる唐萍社長(46歳)が、妻と高校生の娘を伴って現れ、SUV車に乗り込んだ。唐一家は前日から、1泊11万7000円の同ホテルのスイートルームに泊まっている。