【サウジアラビアの大富豪・アルワリード王子(3)】「空飛ぶ宮殿」の自家用ジェット機に大型船舶、メセナ―巨額資産の使い道とは

福田 和也

「4万3000平方メートルの敷地内には屋内プールと屋外プール、45名収容のミニシアター、テニスコート、ボウリング場などがあり、建物の部屋数は300以上、エレベータ12基、テレビ500台、電話機400台が備えられている。厨房では一度に1000人の食事を作ることができる」(『アラブの大富豪』前田高行)

アルワリード王子邸 リヤドの中心にある宮殿。部屋数は317、子供は中央棟の両脇の棟に住んでいるという(『アラビアのバフェット』より)

キングダム・ホールディング社の重要事業部門の一つに「慈善事業」がある。
イスラムの教えの一つに「喜捨」というものがあり、富める者が貧しい者に富を分け与えることは義務とされ、アルワリードはこれを熱心に行っている。

貧困層向けの住宅を10年間で1万戸建設する計画を打ち出し、現在進行中。また、援助を求める1000人もの庶民を自宅、あるいは週末を過ごす砂漠のキャンプに招いて、嘆願を聞き入れる機会を設けている。貧民街に自ら赴き、現金が入った封筒を手渡して回ることもあるという。国内で起きた洪水地域には車1000台を寄付した。
メセナ活動にも積極的で、ルーヴル美術館に毎年1億ドルを出資し、同館のイスラム美術部門の運営には多額の寄付を行っている。

さらにアルワリードは、アラブの民主化について肯定的な発言をし、自ら行動している。
例えば、「女性の重用」である。
アルワリードの宮殿や会社で働くスタッフの大半は女性である。サウジアラビアでは女性は公の場で髪や肌を隠すことを義務づけられているが、アルワリードのスタッフは伝統的な衣装ではなく、デザイナーズ・ブランドの服を着て、仕事をしている。

彼女たちには半年に100万円の被服手当が支給されるという。
宮廷政治にも批判的で、ニューヨークタイムズに「アラブの指導者は改革に踏み出せ」と寄稿したこともある。

アルワリードは今年、60歳になる。
若い頃に官界進出をあきらめ、ビジネス界に進んだが、財力と名声をバックに、今後サウジアラビアの政治改革に乗り出してくる可能性は十分あるだろう。

『週刊現代』2015年3月14日号より

 


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