わが子をオックスブリッジに留学させたい? 子どもの可能性と現実、「Quality of Life」を考えて

親として振り返るオックスブリッジ体験Ⅱ
オックスブリッジ卒業生100人委員会

【その3:なぜオックスブリッジか】

留学を決断し、学びたい分野、学部か大学院かなどが決まっても、目指す先を決めないと始まらない。自らの経験を紹介すると、派遣元から示された留学先は英語圏MBA、しかも1年コースの条件つき。米国含め色々調べた結果、候補に挙がったのが英国MBA、なかでもケンブリッジとオックスフォードだった。十数年前のオックスブリッジMBAはまだ若く、教育内容や将来性も未知数で、正直不安もあった。1年コースの米国MBAやLBSのファイナンス専攻など、出願先から合格通知を受けるなか、最後にケンブリッジMBAを選んだ理由は、次のようなものだ。

①国際性や多様性: 米国MBAは米国自体を学ぶこと。英国MBAは英国中心ながら欧州のモザイク的多様性も学べると考えた。

②単科大学より総合大学: INSEADやIMD、LBSなどは優れたビジネススクールだがビジネス単科。他分野と人的・学問的交流が期待でき、幅広い教養・人脈・視野・刺激を得られそうな総合大学に魅力を感じた。

③類例ないカレッジ制:大学院生ではカレッジは生活(寝食)の場だが、オックスブリッジならではのカレッジ生活で、幅広い分野の教官・学生などとの社会交流が期待された。

④協調的な学風: MBAには非常に競争的で、ときに利己的といわれる風土の学校もあるが、ケンブリッジはグループワークも多く、協調的学風が日本人向きと感じた。

⑤世界的知名度: 特定分野に秀でた知名度の高くない優良校もあるが、せっかく留学するなら、世界で一定の知名度をもつ学校を選びたかった。

⑥機会の希少性: ロンドン、NYなどは仕事含め訪問機会が多そうだが、ケンブリッジは留学以外にない希少性を感じた(車いすで散歩中のホーキング博士や来校中のサッチャー元首相など著名人と出会えたのも、ケンブリッジならではか)。

⑦Lovelyな学園都市: 本稿冒頭の「lovely な学園都市」は、面接でケンブリッジ初訪問の際、案内員が口にした言葉だ。ケンブリッジの美しい街並みは非常に印象的で、ケンブリッジに決断した一番の決め手かもしれない。

いつの日か、わが子が留学の機会を得られるなら、オックスブリッジを勧めるだろうか。何を学びどんなキャリアを目指すか、意欲・能力・適性や、機会と経済的裏づけ次第なのは百も承知だが、それでも敢えて答えるなら、YESだ。

わが子に留学して欲しい理由として、短期の実利的効用より、中長期の人格形成や生涯にわたるQuality of Lifeの向上に資するとの期待が大きい旨を述べた。職業的専門知識や実利的技能を学ぶには、もっと優れた選択肢もある。人生という時の流れのなかで中長期的バックボーンとなる文化的・教養的・社会的・国際的な基礎・基盤を築きたいなら、オックスブリッジ体験は、この期待を裏切らない稀有な機会と感じる。

おわりに

好きな小説に、人生という時の流れを喩えた「過去が増えて未来が少なくなっていく。可能性が減って、悔恨が増えていく」との一節がある。産まれたての子は確かに「可能性」に満ちているが、「現実」化する術を知らず能力もない。教育とは「可能性」を可能性のまま終わらせ悔恨を残すのでなく、「現実」に転化させる能力の獲得(成長)を支援するプロセスだ。その選択肢として、オックスブリッジ含む海外留学が、かけがえのない生涯の宝物となると信じたい。本稿が、そんなキラリと輝く宝物を求めるひとたちに、多少でも参考になるよう祈りつつ、結びとする。

大庭 栄介(おおば えいすけ)
福岡県生まれ。福岡県立東筑高校、早稲田大学政治経済学部卒業。日系大手通信事業者で経理、事業計画策定、資金調達、銀行への出向、海外投資審査やプロジェクト・ファイナンス組成などの国際関連業務、人事などの部署を経て、1999年より企業派遣にてケンブリッジ大学ビジネススクール(当時Judge Institute of Management Studies)にMBA留学。Darwin Collegeに所属。帰国後は海外子会社の事業管理や人事制度構築などに携わる。後に政府系金融機関に転じ、融資審査、債券発行含む資金調達、与信管理態勢整備、中堅・中小企業含むコーポレート向けファイナンス、経営管理などの部署を経て、現在は監査役室にて企業統治、内部統制、コンプライアンス関連の業務などに従事している。

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オックスブリッジ100人委員会より