【沿線革命026】 東京都が中間整理、BRTが湾岸部の「鉄道不足」を救う!

阿部等(交通コンサルタント)

中央区のBRTの過少な需要予測を見直したものの不十分

【010】にて、中央区のBRT需要予測の問題点を指摘した。利便性の良し悪しに関わらず需要量は同一で、現行の速達性・定時性の低い都バスと同じ分担率(全移動を各交通手段で分担する割合)と仮定している点を改めるべきと提案した。

中間整理では、中央区のBRT需要予測は採用されず、改めて検討されている。

需要予測の前提となる、将来の開発見込みを踏まえた常住人口と就業人口が示された(http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2015/03/DATA/70p33103.pdf)。勝どき、月島、晴海、豊洲6丁目、有明1~3丁目、青海1・2丁目のブロック別に、現況・2019年・五輪後・将来の4段階での人口である。

全ブロックを合計し、五輪後の常住人口が約11.5万人+α、就業人口が約12万人+αである。それに対して設定する輸送力(案)としては、虎ノ門~新橋~国際展示場方面、勝どき、選手村、晴海地区の4ルートを併せて片方向で最大4,400人/時程度としている。

平均乗車効率を80%とする(何%とするかは明記されていない)と、ピーク1時間の需要量は3,500人/と見積もったこととなる。1日の中のピーク1時間集中率を15%とすると、終日では2.3万人、両方向で4.7万人となる。

中央区が試算した15,497~19,168人よりは多いものの、運行範囲が港区や江東区まで広がったことも考えると、今回も過少予測だと断言する。

仮に、常住人口と就業人口を併せた約23.5万人+αに対して、徒歩以外の何らかの交通手段を使う一定距離以上の移動が、1日1人当たり2トリップ発生すると仮定すると47万トリップ/日となる。4.7万人/日の利用とは10%の分担率である。

残り90%の内の相応の人数は、大江戸線・りんかい線・ゆりかもめを使うにしろ、相当数がマイカーで移動することになり、湾岸部は自動車洪水、エネルギー浪費、高環境負荷となってしまう。

高速・高頻度運行こそが求められる

中間整理には、どこからどこまで所要時間が何分、時間帯別に運行間隔は何分という、基本的なサービスレベルが示されていない。

一般のサービス業は、「便利なサービスを実現→どれだけの利用を獲得できる」という思考プロセスだろう。それに対し、交通の世界は「これだけの交通需要が予測される→その内の何%が利用→それにより求まる利用量に応じた輸送力を用意」という思考プロセスである。

一般のサービス業と同様に考えるなら、便利なサービスを実現しなければいけない。その肝は、利用者の所要時間を短くすることであり、高速・高頻度運行が重要である。