【沿線革命025】 中央快速線グリーン車導入に高まる期待

阿部等(交通コンサルタント)

夕ラッシュ下りのダイヤ

通勤ライナー列車と通勤快速は先行列車を次々と追い越す(公開情報から独自に作成、着時刻は推定)

東京発19:00前の時間帯の時刻表を示そう。

朝ラッシュ上りと同様に、優等列車は先行列車を次々と追い越し、追い越される列車は所要時間が2分ずつ伸びる。

中央ライナー3号とその前の通勤快速の新宿→立川の所要時間は28分と30分で、朝ラッシュ上りの通勤特快よりは短いものの、昼間の特快の最も速い列車の24分より4~6分も長い。

先行列車につかえてノロノロ運転である。

夕方以降下りの着席サービス

割増料金により着席サービスを受けられる列車は、夕方以降に通勤ライナー列車が8本、特急が8本(金曜は9本)ある。

通勤ライナー列車と特急は本数多く見えるが15~45分おきに過ぎず、利用可能駅も限られる(公開情報から独自に作成)
ライナー券の自動券売機がホームにもあり、気軽に買える(2015(平成27)3月2日撮影)

朝上りより本数は多いものの、15~45分おきとは、乗りたいと思って常に待たずに乗れる頻度ではない。金曜の晩や忘年会シーズンは、ライナー券が売り切れたり、特急自由席は満席の場合も多い。

停車駅が限られ、多くの利用者は選択できないのは朝上りと同様である。例えば、「住みたい街ランキング」1位の吉祥寺に帰るのに、どんなに払っても構わないと思っても、着席サービスを受けられない。

東京からの乗車では数分待って座るという選択肢もあるが、途中駅からはよほどの幸運がなければ座れない。

混む、座れない、遅い中央快速線

以上見てきたように、現状の中央快速線の朝夕は「混む」「座れない」「遅い」のが現実だ。高級住宅街が広がり、多少高くとも座りたい、短時間で移動したというニーズが膨大にあるのにである。

裏返して言うと、JR東日本は壮大なるビジネスチャンスを取りこぼしている。私は、「鉄道会社は、その社会的使命に基づき通勤ラッシュを解消すべきだ。」などとは言わない。

「30分も40分も、中には1時間以上も立ちん坊で乗っている人の多くは、手の平に500円玉を握り締め、座れるならすぐに出したいと思っています。それに応えるサービスを実現したら、大儲けできますよ。それで大きな利益を得たからと責められることはなく、むしろ誉められますよ。」と言いたい。

また、今まで何回か触れたように、所要時間が長いことは、利用者の時間を奪うと同時に、鉄道事業者にとっても、同じ輸送力を実現するのにより多くの車両と乗務員を必要とし、コスト増となる。

特に、車両と乗務員の数は朝ラッシュのダイヤによって決まり、その時間帯にノロノロ運転となるのは、鉄道事業者にとっても極めて好ましくない。

今回は問題点の指摘ばかりをした。次回は、ではどうしたら良いのかの解決策を示そう。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
毎回、多数の方がツイッターその他で拡散下さり、ありがとうございます。
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