【沿線革命024】 勝どき駅の混雑はダイヤの工夫で大幅緩和できる

阿部等(交通コンサルタント)

大江戸線のダイヤは勝どきのピークを配慮していない

内回りは8:27~9:21に3分おき、外回りの8時台は4分おきにしか運行していない。ブルームバーグ記事の「8時半ごろのラッシュ時、約2分間隔で電車が到着」も現場とは異なる。

内回りの3分おき=1時間に20本は、東京の他の路線と比べて少ない。ましてや外回りの4分おき=1時間に15本は、非常に少ない。

外回りも3分おきの時間帯があり、7:12~7:36である。ところが、その時間帯の利用者は少なく、列車は空いている。

大江戸線の最混雑区間は内回りの西新宿五丁目→都庁前であり、その区間のピーク時間帯に列車本数が多くなるようにダイヤが組まれており、勝どき外回りの7:12~7:36とは、内回りのピークに合せて清澄白河の車庫から出て光が丘に向かう列車なのだ。

つまり、今の大江戸線のダイヤは勝どきのピークには配慮せずに組まれている。運行本数が少ないから1列車当たりの降車客が多く、駅が混雑するのだ。

ダイヤの工夫により勝どきの混雑を大幅緩和する方策

勝どきのピークの時間帯に増発するほど、1列車当たりの降車客が減り、ホーム~地上への行列は短くなる。

増発するのに要する投資額を概算してみる。東京都交通局の内部データを持っているわけでないので、精度は低いが、実行可否の判断に多少は役立つだろう。

列車運行の経費(ワンマン運転の乗務員の間接コストを含む人件費+動力費+車両保守費+設備保守費等)を走行1時間当たり約1万円とすると、都庁前-光が丘で約1.5時間なので1列車当たり約1.5万円となる。年間に平日250日強として、年間約400万円となる。30年分を投資額とすると約1.2億円となる。

車両の増備費を8両編成で約10億円とすると、両者を併せてピーク時の1列車増発当たり約11億円の投資額となる。

外回りの勝どきでのピーク36分間の運行本数を、現行の36÷4=9本から、36÷3=12本に増やすとする。12-9=3本の増加なので、11億円×3=33億円となる。

勝どき駅の改良工事の投資額は、当初予定では100億円であり、工期延伸により100数十億円に増額となろう。その数分の1の投資額で、外回りの勝どきピーク時間帯36分間を4分おきから3分おきに増発できる。

さらに、外回りと内回りを勝どき時点で1分30秒ずつずらして設定し、常に、階段の行列がさばけた後に次の列車が到着するダイヤとすることを提案する。それにより、ホーム~地上、さらにはトリトンスクエアへの混雑が緩和され、勝どきからの乗客にとってのホーム混雑も緩和される。

遅れを減らし、増発を低コスト化する方策

ただし、遅れて運行したのでは外回りと内回りが同時に到着したりして、効果的な勝どきの混雑緩和はできない。遅れを減らし、かつ増発を低コスト化する方策を提案しよう。

【沿線革命018】を始め、今まで何回か提案している「ドア閉めと同時に出発」である。現行、各駅にて、ドア閉め完了から出発までに5~10秒を要しており、確実にドア挟みを検知するセンサーを開発する等により安全は維持した上で、その時間を要さないようにする。

5秒はダイヤ上の所要時間の短縮に当てる。都庁前-光が丘で39駅あり、終着を除いて5×38=190秒=3分10秒も短縮できる。利用者にとって所要時間が短縮されると同時に、事業者にとって必要な車両と乗務員を減らせる。

3分10秒とはピーク時の運行間隔とほぼ同じであり、片道当たり1編成+乗務員1人を減らせることを意味する。両方向で2編成+乗務員2人である。提案した3本の増発を、3編成+乗務員3人でなく、1編成+乗務員1人で実行できることとなる。投資額は11億円に減る。

「ドア閉めと同時に出発」で生れる1駅当たり残り数秒は、余裕時分に回す。それにより、遅れを減らし、勝どきで目論見通りに外回りと内回りを同時に到着させない確率を高めることもできる。

さらに言えば、外回り・内回りとも3分おきよりもっと増発し、西新宿五丁目→都庁前も含めて大江戸線の全体的に混雑を緩和し、待ち時間を短くしたいところだ。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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