【沿線革命023】 京浜急行と京成電鉄を直結して羽田と成田を近付ける

阿部等(交通コンサルタント)

低コストかつ高利便の列車が選ばれる仕組み

高コストかつ低利便の列車を多くの人が使っている現状を改め、低コストかつ高利便の列車が選考されるための工夫を提案する。

名古屋鉄道(http://www.uraken.net/rail/chiho/meitetsu/2200.html)と南海電鉄(http://www.uraken.net/rail/chiho/nankai/12000.html)は、ハイグレード車両(追加料金)と一般車(運賃のみ)を混結した特急を運行している。

それぞれを有料特急と一般特急として独立に、混結運行する場合の半分ずつの本数を運行した場合と比べ、ハイグレード車両を利用したい人も一般車を利用したい人も、乗車チャンスが2倍となる。

今回提案の想定時刻表でも、スカイライナーはハイグレード車両で追加料金、特急は一般車で運賃のみとするのでなく、両方ともハイグレード車両と一般車を混結することを提案する。

それにより、高くともハイグレード車両を利用したい人も、安く一般車を利用したい人も、大駅では1時間に6回、その他の特急停車駅では1時間に3回の乗車チャンスがある。新橋と秋葉原は、他の列車から乗り継いでスカイライナーを利用することもできる。

京成電鉄と京浜急行の沿線価値が大幅に向上

京成電鉄と都営浅草線の相互直通運転の開始は1960(昭和35)年12月で、日本初だった。1968(昭和43)年6月には京浜急行とも相互直通運転が開始され、郊外-都心-郊外を複数の鉄道事業者で運行する先駆けとなった。

しかし、都営浅草線は東京都心から東に外れ、京成電鉄と京浜急行は他の放射路線と比べ都心との結節性が劣り、輸送人員も少ない。

東京圏における主要31区間の混雑率(https://www.mlit.go.jp/common/001050444.pdf)に示されている輸送人員を見ると、東武・西武・京成・京王・小田急・東急・京急の中で、京成は最下位、京急はその上である。JR東日本の多くの路線と比べても少ない。

それが、東京・上野を始めとした品川-日暮里の間の各駅と直結されるとどうなるかを想像してみて欲しい。東京都心との結節性が大幅に向上する。

両線、特に京成電鉄(北総鉄道も含めて、以下同様)の沿線は、都心から同距離同士で他路線と比較し地価が安い。品川-日暮里の直結線が実現したら、手頃な値段で便利な場所に住めることとなり、一気に人気が高まろう。

泉岳寺-押上を短絡する都心直結線構想は、投資額が4,000億円と極めて大きく、もちろん独立採算では投資回収できない。税金投入の社会的合意を得るためには、費用便益分析により、時間短縮を中心とした便益が投資額を上回ることを示す必要がある。

そして、羽田と成田の空港アクセスの時間短縮便益だけでは投資額に達せず、京成電鉄や京浜急行の沿線と都心との行き来の時間短縮便益まで盛り込んでいる。その際、都心駅は新東京1つのみというのは極めて不利に働く。

本提案のように、品川-日暮里の間に多数の駅を設置することは、その点でも有利に働く。費用便益分析に限らず、京成電鉄または京浜急行の沿線に住んだ場合を想像すると、都心駅が新東京1つなのと多数あるのでは魅力度が全く異なることが分かろう。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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