【沿線革命023】 京浜急行と京成電鉄を直結して羽田と成田を近付ける

阿部等(交通コンサルタント)

品川-日暮里の重層利用は可能か?

品川の地平からスタートして日暮里の京成電鉄の高架線まで12.6kmに、線路空間を重層利用して線路を敷設することが容易でないことは言うまでもない。

品川を起点に京成線の日暮里の高架線までを結ぶ(2015(平成27)年2月18日撮影、次の写真も)

【沿線革命003】で解説した上野-東京ラインの神田付近は、東北新幹線の高架橋を設計・施工した時から重層利用を前提としていたのに対し、今回の提案は明治~昭和の建設時には想定外のことを実行しようとするものだ。

神田の重層高架は、東北新幹線の建設時から想定されていた

【022】で提案した東京モノレールの軌道桁は、鉄道の高架橋より荷重が小さいので、橋脚は細く狭い占有面積で建植できるが、都心直結線はそうはいかない。

既存線の運行に影響を与えず、大地震時にも大損壊に至らない強度を確保し、用地が不足の箇所は側道の上空占有や民地の買収・賃借をするにしろ必要最低限に抑え、既存線の線路移動やホーム改修まで含めた工費を最小化する緻密な検討を要する。

最大の難題は、線路用地を重層利用して高層化することに社会の理解を得られるかである。景観を損なう、騒音・振動公害、日照権、プライバシー侵害等々、様々な反対理由が出よう。

しかし、一般の民地では建ぺい率・容積率・道路斜線規制や建築基準法その他を遵守することを前提に、鉄道の重層高架よりはるかに高い高層建築物が当たり前に建設されている。むしろ、都市や地域のシンボルとして高さ競争すらされている。

近年は国家間の威信競争にさえなり、アラブ首長国連邦ドバイに2010(平成22)年1月に開業したブルジュ・ハリファは、尖塔高828m、ビル本体高さ636mにまで達し、なんと160階建てである。

一方、線路空間は特別視され高層利用があまりされていない。【沿線革命006】に、周辺の高度利用と比べ東京駅のみが極めて低層の土地利用となっている様子を、100年間の変遷の模型写真ととともに紹介した。もったいないことだ。

鉄道の高層利用の前例は短い延長なら結構ある。上野東京ラインの神田付近の他に、JR中央線の東京(https://goo.gl/maps/Xtfgm)、京成電鉄の青砥(https://goo.gl/maps/UEE3C)と日暮里(https://goo.gl/maps/0zPiy)、京浜急行の京急蒲田(https://goo.gl/maps/RuqH0)などである。道路では、首都高速道路の各所や国道246号線の三軒茶屋等、いくらでもある。

固定観念に縛られず、明治以来の先人達の努力により蓄積された貴重な財産である線路空間を重層利用することを推奨する。それにより、東京の生産性を高め、より暮らしやすい働きやすい街に発展させ、国際競争力も高められ、日本の未来を拓く起爆剤になると信じる。