佐藤義則(ソフトバンク投手コーチ)「勝てない投手を勝たせるのが、私の仕事」 二宮清純レポート ダルビッシュ有、田中将大を育てた「優勝請負人」が明かす

週刊現代 プロフィール

キャンプ前、僕は佐藤さんに投手陣の夜間練習を提案した。ところが佐藤さん、〝オレは行かないよ〟と言って乗ってきてくれないんです。結局、僕ひとりでやりました。

今にして思えば、佐藤さんの考えは〝練習はグラウンドで動けなくなるまでやる。余力は残すな〟というものだったのでしょう。僕とは考え方が違いましたが、自分を曲げないし、人が何と言おうが〝自分の考えは、これです〟という確固たる哲学を持っている。

監督の顔色を窺う投手コーチが多い中、佐藤さんは〝最後の職人〟と言っていいのかもしれませんね」

ミッションは日本一連覇

昨季、ソフトバンクは3年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した。6年間にわたって指揮を執った秋山幸二が退任し、OBの工藤公康が跡を襲った。

工藤が仙台市にある佐藤の家に挨拶に訪れたのは監督就任が決まった直後のことだ。

「オレは喫茶店とか好きじゃないから、家まで来てもらったんです。だって、周りに人がいたら本音でしゃべれないじゃない。

時間にすると1時間半くらいかな。お茶飲んでタバコ吸って、いろんなことを話しましたよ。工藤監督は〝佐藤さんの好きなようにやってください〟と言ってくれた。オレも〝パ・リーグのバッターのことはよくわかっているから、そこは任せてください〟と返した。いい話し合いができたと思っています」

実は、と言葉を切り、苦笑を浮かべて佐藤は続けた。

「正直言うと、昔は彼について、あまりいいイメージを持っていなかった。まだ彼が若い頃かな、オフのテレビ番組の企画でゴルフをした時、バスに遅れて乗ってきたことがあった。新人類なんて言われて、ちゃらんぽらんなことをやっているように映った。

ところが、オレが引退する時には花束が届いた。急にしっかりし始めたんだ。人間というのは変われば変わるものだと感心しましたよ」

佐藤とソフトバンクの契約は1年。ホークスは南海、ダイエー時代を含め、日本一を6回達成しているが、連覇はまだ1度もない。優勝請負人と呼ばれる佐藤に課せられたミッションが、日本一連覇であることは言うまでもない。

松坂大輔の日本球界復帰もあってファンの期待も大きく、キャンプ初日には約1万7000人の観衆が集まった。

キャンプインに際し、佐藤が投手陣に出した注文は簡潔である。