熱いぜ、広島 帰ってきた黒田と待っていたマエケン「男たちの友情」二人のエースには二人しか知らない物語があった

週刊現代 プロフィール

不調の原因は何か。担当スカウトとして前田を見出し、プロ入り後も常に目をかけてきた宮本洋二郎氏が言う。

「福留選手に試合を決める一発を浴びた阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが象徴的ですが、昨季の前田は、大事な試合で打たれることも多かった。

その理由は、プレッシャーだと思います。前田は昔から、負けず嫌いで誰よりも責任感がある子。それが彼の良い所なんですが、昨季は『自分がチームを勝たせなきゃいけない』という思いが強すぎ、力みにつながってコースが甘くなってしまっていた」

菊池涼介、丸佳浩、大瀬良大地といった若き赤ヘル戦士たちが台頭してきた昨季の広島は、巨人や阪神と並ぶ優勝候補に挙げられることも少なくなかった。それだけに、人一倍責任感の強い前田は、エースとしての重圧に押しつぶされてしまったのだ。

だが、今年はもう、そんな心配はいらない。

かつてカープの正捕手として長く活躍した、西山秀二氏が語る。

「マエケンの実力は間違いないですが、精神的な主柱としての役割まで若い彼に求めるのは、酷だったと思います。でも黒田なら、その大役を安心して任せられる。マエケンも、黒田の存在によって負担が軽減され、楽に投げられるようになる。黒田が帰ってきてくれたことはカープにとってもマエケンにとっても、これ以上ないプラスですよ」

「めっちゃ嬉しい」

事実、前田自身も26歳の自分がチームの中心になることに限界を感じており、若手が多いカープを引っ張ってくれる存在を求めていたという。広島球団関係者が明かす。

「『めっちゃ嬉しいです』と、黒田復帰の一報を聞き、前田は素直にそう喜んでいました。そして、『まだまだ経験が少なくて、言葉や姿で引っ張ることができなかった』と、昨季までの苦悩も口にしていた」

'07年ドラフトで入団した前田にとって、同年のオフにメジャーへ移籍した黒田は常に憧れであり、目標だった。

「アメリカに旅立つ直前の秋、一度だけ、黒田はマエケンに声をかけたことがあります。まだ入団したてで身体ができていなかったマエケンに、『もうちょっと身体を大きくしろよ』とアドバイスをしていました。マエケンは緊張して、直立不動でしたね。

黒田は自分から声をかけるタイプではありません。もしかしたら、ルーキーだったマエケンから、黒田は大きな可能性を感じ取っていたのかもしれませんね。メジャーに行ってからも、マエケンのことはいつも気にかけていましたよ」(前出の関係者)