不安にこたえる「寿命」の研究 それは初めから決まっているんです

自分は何歳まで生きるのだろうか
週刊現代 プロフィール

「四十数年という人生は確かに短かったかもしれません。ですが、彼はその倍を生きたくらい、濃い人生を送っていたと思うのです。

彼は人を喜ばせることを生きる糧にし、皆の笑顔に彼自身がまた勇気づけられた。それが、推測された余命を超えて彼を生かし続けたのではないか、そう感じました」

医学的にみた余命は、彼が本来持っている寿命ではなかった。

たとえ病気になったとしても、その人の持っている「寿命」、つまり、生きる力があれば医学の常識を超えて命が延びることだってあるのだ。

「自分は何歳まで生きられるのか」と不安に駆られることもあるだろう。寿命を延ばすために、健康診断を欠かさず受け、食事を節制したり、さまざまな健康法を試す人も多い。それは意味があることなのか。前出の上野氏は、こんな話をする。

 

「非常に健康に気を使う60代の男性がいたのですが、健康診断を受けて『異状なし』という結果が出たのを喜んで病院から帰る途中、バタッと突然死してしまった。

変死体扱いになったので、解剖すると心筋梗塞だったのです。健康診断では健康そのものという結果だったのに、いったいどういうことかと驚きました」

自身の妻の死や、こうした突然死の事例を見てから、上野氏は自分の健康に頓着しなくなった。

「よく、80歳過ぎても顔がつやつやでお元気でいる秘訣は? と訊かれるのですが、何もしてないんですよ。いろいろな健康法があるけど、好きなことをしてストレスがないように生活するのがいいのじゃないかな。生きることに執着しすぎると苦しくなる。執着がなくなれば、楽になるんです」

男女ともに平均寿命が80歳を超えたいま、「せめて平均寿命までは生きたい」と思う人も多いだろうが、数字に縛られた生き方は、自分を苦しめるだけなのかもしれない。

死は理不尽にやってくる

70歳を迎えた昨年、「生前葬コンサート」を行ったシンガーソングライターの小椋佳氏は自身の「死」について次のように語る。

「私は、いつ死んでもいいと思っているんです。死に対する不安はありません。僕よりずっと年上でも元気な高齢者の方もたくさんいますし、年下なのに突然亡くなってしまう人もたくさん見てきました。ですから、死というのは、あるとき理不尽にやってくるものだと覚悟しているんです。

胃がんも経験しましたが、長生きするために何かを節制することもありません。タバコは50年間止められず、毎日40本吸っています。コカ・コーラは、アメリカに留学していた26歳の頃からずっと飲んでいて、2リットルのボトルを3日経たずに飲みきってしまうほどです」

小椋氏は「寿命という概念はよくわからない」と言うが、氏が言う「理不尽にやってくる死」とはつまり、人には努力では変えられない「寿命」がある、ということだろう。小椋氏が続ける。