もうすぐ毒親になるかもしれない私たちが考える"こじらせ家庭"の直し方、愛し方【後編】今や、毒母になるほうが普通?!

「傷口から人生。」出版記念対談

小野: この本の、"自傷"の章にも書いたけどさ、つまずいたり、周りの関係が上手くいかない人っていうのは、たいてい、自分で作り出した妄想のトラと頭ん中の檻の中で永遠と戦ってるみたいなところがある。「それ、妄想やで」って言われても、そっから出られない。「自分はこの問題があるからだめなんだー」って。でも、それを打ち破るようなきっかけって、全部、他者からもたらされるものじゃん。この本では、私が他人に「生い立ちの整理」のきっかけをもらって、現実に向き合う過程を延々と描いているわけだけど、うちのお母さんにとっても、あの殴るエピソードは、そういうきっかけだったんだろうなって思うし。

コミュニケーションの難しさと希望

森山: 私が言うとまた立場上どうか不安だけど、それで悶々と抱え続けた結果、誰かを殺すまで行くよりは、ちゃんと分かってほしい人に何かしら伝える手段の一つとしてはありだなって思って。

小野: そうだね。「殴るっていいな」って言葉を額面通り受け取ったらまた叩く人、いそうだけど。「関わりたい人とちゃんと関わろうよ」ってことだよね。「関わりたい人に、物怖じせずに関わりたいと言えた時に、人間関係は変わっていく」気がする。恋愛とかでもそうじゃない?

森山: コミュニケーションの一つとして暴力的なものってあると思うんだけど、封じ込まれすぎると、すごい極端な形で噴出しちゃうから、それはそれで一つの問題になってきている気が。

小野: ホントは抑圧せずに伝えられたら、パワーは暴力にならない気がするんだけど。それができないからみんな病んだりする。虐待問題もそうだし……。時々、人を殺してしまった子どものニュースが世間を騒がせたりするけどさ。それだって、親や周囲の人に大切に扱われなかった怒りが身体の中に溜まっていて、吐き出したいんだけど、それを言葉にする術を持たないから、別の形で放出しちゃう。

でもそれ、日常レベルで起きてると思う。twitterやネットに溢れるヘイトスピーチとか、誰かへの過剰なバッシングって、その子たちの情動と変わらないと思うよ。他者と、適切な言葉を使って関わるのがすごく難しい時代だなと思う。

森山: 難しいですね、人生っていうのは。この本を家族や人間関係に不満を抱えていたり、仕事で悩んでる人に読んでもらいたいなあと思った。

小野: 「コミュニケーションって難しいし、しんどいんだけど、楽しいんだよ」っていうのが、この本で伝わったらいいなって思う。人と関わることの絶望と希望の、間にあるものを書き続けたいです。これからも。

(了) 

小野 美由紀(おの みゆき)
1985年生まれ。ライター、コラムニスト、イベント企画者。性愛やコミュニケーション、家族問題を扱うブログが人気。2月10日、家族問題や就活、若い世代の対人関係について描いたエッセイ『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』(幻冬舎文庫、626円)を発売。現代ビジネスで「愛の履歴書」を連載中!Twitter:@MiUKi_None 
森山誉恵(もりやま たかえ)
生活困窮家庭や児童養護施設などで暮らす子どもたちのサポートを行うNPO法人3keysの専従職員兼代表理事。大学時代から子どもの教育・福祉にまつわる活動を続けている。2011年には社会貢献者表彰受賞、AERAの「2020年主役50人」や、2011ロハス大賞ヒト部門に選ばれる。1987年生まれ。慶應大学法学部政治学科卒。現代ビジネスで「いつか親になるために」を連載中!

傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった 』小野美由紀著(幻冬舎文庫,626円)

過剰に教育的な母に抑圧され、中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。でも他人から見てイケてる自分でいたくて、留学、TOEIC950点、インターン等々。無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだ。なのにパニック障害に! 就活を断念し、なぜかスペイン巡礼の旅へ。つまずきまくり女子は、再生できるのか? 衝撃と希望の人生格闘記。

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