もうすぐ毒親になるかもしれない私たちが考える"こじらせ家庭"の直し方、愛し方【後編】今や、毒母になるほうが普通?!

「傷口から人生。」出版記念対談

小野: 私がもし毒母にならない方法があるとしたら、それは子育てを頑張らないことだと思う。伊藤比呂美さんという詩人がエッセイで「子育ての秘訣はがさつ、ぐうたら、ずぼらだ」って書いていて、読んだ瞬間「それだ!」って思った(笑)

森山: まあでも、私は毒母になるのがある意味で普通かなと思っているから、心配しすぎないようにしているんだけど。

小野: 毒母にならない究極の方法は「"毒母になってもいいや"って思うこと」?

森山: まあ、そう言い切るのは難しいけどね。

小野:でもそれ、私も思うわ。私、将来自分が親になって、もし子供に、この本に書いているのと同じようにブン殴られたとしても、もうしょうがないや、って思っちゃってるもん。

森山: 「足りないところも多くてごめんね」って、それで行きたいなあと思うけど。怖いなあと思うのは、もし将来、自分が余裕がないときに毒親的になってしまった日があったとして、教育を扱う仕事だから、イメージが一人歩きして、こんな立場なのに育児はしっかりしてない! って大きく叩かれるのはまだ心配かな。

小野: NPOの代表って、ただでさえ聖母みたいなイメージあるしね。…誉恵ちゃんには、瀬戸内寂聴キャラで行ってほしい(笑)あの人も最初からさ、不倫して、子宮作家とか言われて叩かれて、そっから始まってるから。そういう感じでやってたらいいんじゃない。…すごく無責任な話だけど(笑)

森山: ちょっと考えとく(笑)。でも、連載で「みんな、少しくらいダメでもいいじゃん」って打ち出してるのは、もしかしたらどっかで自分を守ってるのかもしれない。

虐待とか自分よりも弱い相手をいじめたりとか、そういうものまでも、大丈夫とは言えないけど、ダメになるのは親の責任だけではない、社会にも理由があってそれを変えないといけないんだ、っていうところまでひっくるめて伝わればいいなと思う。

小野: 社会がね、本当に左右するよね。私も、お母さんの人生、スーパーハードモードだったと思うよ。一橋大学に女学生が4人しかいない時代に、バリキャリで、シングルマザーで子どもも育てざるを得なくて、自分が親との関係を解決してないのに、相談する相手もいなくて。

森山: それはハードだね。

小野: 今の、女性が働くのが当たり前の時代に母親やってたら、毒母的な要素は薄くなったかもしれない。だからって「お母さんかわいそうだから許さなきゃ」とか思わないけど。一人の人間として、頑張ってきたんだ、お疲れ! でもバブルの時にさんざん遊んだでしょ? これからもあなたの人生をあなたなりに楽しんで生きてね、みたいな。まあ、それは親子問題を解決した今だから思うんだけど。

現実に向き合わせるのはいつだって他人

森山: この本(「傷口から人生。」)を読んで、美由紀ちゃんこんなにこじらせてたんだーって、びっくりした(笑)。すごくさらけ出してるよね。

小野: 無名の新人だから、「脱がないと何の意味もないだろうな」と思って。ここまで脱いでる女性エッセイってあんま無いから。

森山: 私、この本の「母を殴る」の章を読んで、誤解を恐れずにいうと「殴るっていいなーっ」て思った(笑)

小野: !!!!

森山: いや、もちろん虐待とかは絶対にダメだし、暴力自体を肯定するつもりは全くないんだけど! でも、美由紀ちゃんの本の中では「殴る」って行為がものすごいきっかけになっているよね。

小野: 関係性のスタートだからね。

森山: 私の場合は、運よくお母さんと言葉で通じあえたけど、それはお母さんも同じ時期にカウンセリングを受けたり、色んな事を考え直す時期と重なって、ある意味で親も挫折したからなんだよね。私もお母さんも、どん底の時期がちょうど重なったから、たぶん向き合えた。

小野: 人は挫折すると内省的になるもんね。

森山: でも、そうじゃない限りは別の意味で挫折感というか、パンチみたいなものがないと、今の前提を見直すことってできないじゃない。ぬるま湯だとさ、言葉でぶつかっていってもうまくごまかされて終わったり。美由紀ちゃんのお母さんみたいに、娘が犯したあやまちを泣きながら告白してるのに、テレビをつける、みたいなさ。

小野: 逃避できちゃうもんね。きっかけがないと。

森山: でも、実の子どもに殴られるって、すごい挫折じゃん。だから、ハッとさせられる気がする。