もうすぐ毒親になるかもしれない私たちが考える"こじらせ家庭"の直し方、愛し方【後編】今や、毒母になるほうが普通?!

「傷口から人生。」出版記念対談

"家庭内キャバクラ"から、7枚の手紙まで

小野: さっき、お母さんとの関係が大変な時期があったって言ってたけど、聞いても大丈夫?

森山: みゆきちゃんの本読んで、改めてうちはふつうかもと思ったけど(笑)。うちの母親は学歴が高卒で、父親も仕事が安定するまで時間がかかったから、母親は週5でスーパーでレジ打ちしながら私を育てるのに苦労してたのね。それもあってか、すごく教育に重きを置く親だった。

小野: そうなんだ。

森山: 本当はどうか知らないけど、自分は勉強できないと価値がないと思ってた時期もあったんだよね。お小遣いも学校の成績で決まってたし、勉強の邪魔になるものは基本禁止だった。漫画も、テレビも、電話も、恋愛も、化粧も全部親の決められた枠でやらないとだめで。テレビは30分までとか、電話は10分までとか、化粧も禁止とかね。東大に行かないと否定されるのでは?って、どこかで思ったりもしてた。

小野: 反動で教育的になっちゃったんだ。

森山: どこまで自分の思い込みで、どこまでが本当に親がそう思ってたのか今ではよくわからなくなったけど、当時の私は嘘に嘘を塗り重ねて、親に見せる顔と本当の自分の顔を分けてた。家の中だと、ふと気を抜いたときに本当の自分が出ちゃうんじゃないかなと思って、なるべく家に帰らないようにしたり。家にいても、ずっと気を張っている状態。

小野: それ「家庭内キャバクラ」みたいなもんじゃん。大変だね。

森山: そうそうそう! 親に本当に言わないことだらけで。それが嫌すぎて、高校で留学したり、大学の時も実家は都内なのに一人暮らしして、親からどこかで逃げてた。お母さんは「家族なのに一緒に暮らさないなんて」とか「家族なんだから期待して当然でしょ」とか言ってたけど。最初はそうなのかなって私も思ってたけど、あまりにも自由にさせてもらえないと感じて、飛び出して。仕送りをもらうと、申し訳なさからまた「親に良くしなきゃ」って思いそうで、一人でバイトを頑張って。でも大学行きながら、3keysも作って、一人暮らしするのはきつすぎて結局いったん戻ることになってしまったけども。

小野: 上手くいくようになった、そのきっかけはなんだったの?

森山: 実家に戻る時に、私が今まで親に隠してたことを全部、手紙に書いたの。実は煙草吸ってましたとか、友達の家に泊まるってウソついて彼氏の家に泊まってましたとか、全部で7枚ぐらい。実家に戻ったあとのことを考えたら嫌すぎて、どうやったら実家に帰っても嘘付かずに済むかなって思ったら、伝えるしかないと思って。これが本当の私ですって言って、手紙だけ渡して、でも反応がすごく恐ろしくて、その日は反応見ずに即帰った。その3日後ぐらいに親に「戻っていい?」って聞いたら、他のことには何も触れずに「いいよ」って。それからはずいぶん楽になったかな。

小野: その前まではしんどかった?

森山: うん、それまでは、私は作られた自分しか愛してもらえないと思ってたんだけど、実はまるごと、いつの間にか受け入れてくれてたんだなっていうことを感じて。今でもぶつかることもあるけれど、一方的に恨んで「どうせ何も分かってくれない」とか、そういうのは無くなったかな。

毒母にならない究極の方法は?

小野: 「相手にどう扱われたいのかを言語化する」ことって、やっぱり大事だなと思う。私はコミュニケーションの問題って、本当に伝えるべきことを伝えられていないから起こることがほとんどだと思っていて。怒っている人は「どうして私のこと、扱って欲しいように扱ってくれないのよ」って怒ってるんだよ。「じゃああなたはどう扱われたいの?」って聞くと、自分でそれを分かっていないことって多い。それを言語化できて、相手に伝えられたらだいたいの問題って解決すると思うんだけど。

森山: 遠回しに伝えたり、「察してよ」と思ってると、余計にこじれちゃう。変にオブラートに包んで逆に刺々しくなったりね。うちは、程度は軽かったかもしれないけど、それでも、お互いちゃんと伝えずにどんどんこじれて、思い込みも増えて、自分なりに苦しかった。そういうこともあってか、こじれる方が普通なんじゃないかなって思っちゃう。

親だって、親になるのは初めてだし、不安だらけで、子どもを必死に守ろうとした結果だと思うから、それって、自分でもやり得るなと思う。

小野: それは思う、すごく。誉恵ちゃんは、結婚したいとか子ども欲しいってよく言うじゃない。それに関しては、不安はないの?

森山: ないわけじゃないけど、解決できない問題だとは思っていなくて。大変な壁は絶対あるけど、壁でしかないというか。準備とかトレーニングとかちゃんとしていれば大丈夫かな、と。あとは、失敗したときに、子どもにちゃんと謝ることができればなんとかなるかなあとは思ってる。

小野: 親って謝れないよねぇ。

森山: 間違った時は、謝っちゃえばいいのにね。