【沿線革命021】 羽田空港への南武線の乗り入れで500万人近くが便利に

阿部等(交通コンサルタント)

南武線ルートと羽田新幹線の相互補完

国内線ターミナルは羽田新幹線と共用駅とし、以下の配線とする。

国内線ターミナル駅は、南武線ルートと羽田新幹線を平面で乗り換えられる配線とする(独自に作成)

羽田新幹線は前回示したように10分おき、南武線ルートの昼間は快速と普通を各10分おきに運行する。

新幹線が折り返す真中2線は、それぞれの線で20分おきに折り返すことになる。南武線ルートが折り返す外側2線は、それぞれを快速・普通の専用とし10分おきに折り返すこととなる。

新幹線は車内整備のために15分前後の折り返し時間を取る。ということは、到着した際は必ず反対側に1本前の折り返し列車が停車している。南武線ルートへ、同じホームの反対側または停車中の新幹線の扉を抜けて乗り換えられる。南武線ルートから新幹線への乗り換えも同様である。

以上により、東北・上越・北陸新幹線の各駅と国際線ターミナルとの行き来と、川崎市殿町地区「キングスカイフロント」や南武支線沿線と東京以北との行き来も便利になる。

新幹線は、1つ隣の国際線ターミナルまで乗入れられた方がより好ましい。その場合、国内線ターミナル-国際線ターミナルのトンネル断面を大きくし、線路を3線軌または4線軌とし、新幹線車両は南武線ルートの直流1500Vと信号システムにも対応できるようにしなければいけない。

リニア中央新幹線が開業する2027(平成39)年以降を見通すなら、東海道新幹線は短距離輸送に特化することになる。武蔵小杉まで新幹線が走行できる構造とし、そこで東海道新幹線と合流させ、羽田空港と静岡・浜松方面等の結節性を高めるのも手かも知れない。

メリットを受けるのは500万人近く

南武線ルートのメリットを受ける居住人口を概算してみよう。

他のルートがどの程度便利になるかによるが、自治体単位で予測してみる。川崎市・横浜市の北部4区・東京の市部の範囲でプロットした。(https://www.google.com/maps/d/edit?mid=zo0ekc4hc9Xw.kzSxheTW-02U

川崎市の約150万人は、京急川崎近辺を除いた大半となる。横浜市の約370万人は、北部の40万人以上となる。東京の市部の約200万人は、150万人強となる。併せて、350万人弱である。

他に、山梨県の約90万人と長野県の中央本線沿いの松本までの約50万人を加えて500万人近くとなる。思いのほかの大人数ではないだろうか。

羽田新幹線とセットで2020年に間に合わせよう!

前回書いたように、明治の鉄道開業は、1870(明治3)年3月に着工し1872(明治5)年6月に仮開業と工期2年3ヵ月、昭和の東海道新幹線開業は、1959(昭和34)年4月に着工し1964(昭和39年)10月に開業と工期5年6ヵ月だった。

明治の鉄道開業は、今回と同様に多摩川への架橋も含み、当時の土木技術で木橋を掛けた。前回提案した羽田新幹線とセットで2020年東京五輪に間に合わせ、50年後に「2020年を機に鉄道は蘇った。」と評価されるようにしたい。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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