カモられる?東京都の官民ファンド

〔PHOTO〕gettyimages

東京都が高齢者施設や子育て支援施設などの整備を促進するために、「官民ファンド」を立ち上げるという。都が作るファンドに民間資金も呼び込む形で、都の信用力により資金が集まりやすくなる狙いがあるようだ。舛添要一都知事は東京の国際金融センター化を掲げており、その政策の一環なのだろう。

しかし、「官民ファンド」というのは政府でもうまくいっているのかどうか疑問符がつく。この政策をどう考えればいいのか。

本コラムの読者であれば、昨年11月15日号で、東京都が豪ドル建てで個人向けの都債を発行するというトンでもない金融構想を紹介したことを覚えているだろう。証券会社のセールス・トークそのままに乗せられたような政策で、都民にとってはメリットがなく、証券会社だけを儲けさせる構想だと書いた。

もともと東京都は、金融機関関係者にとってはカモになる「おいしい」役所である。なにより役人が金融のことを知らないうえに、素人のトップが誰かの口車で決めてしまっているような状況が続いているためである。

すでに、悲惨なことも起きている。そのいい例が、石原慎太郎都知事時代の新銀行東京だろう。

新銀行東京は、東京都が1000億円、民間が200億円弱出資しており、いわば「官民ファンド」のようなものだった。'05年4月から開業したが、3年ほどで累積赤字が900億円となって、事実上倒産。結局、東京都の出資1000億円と民間の出資200億円弱はほとんど回収できなかった。

さらに振り返れば、新銀行東京は、東京都の信用力で預金を集めてそれを融資して利益を上げるという目論見を持っていた。どうだろうか。いま舛添知事が構想している「官民ファンド」とそっくり同じ構図ではないか。

新銀行東京の問題点は、銀行業務の根幹である貸し付けがうまくできなかったことに尽きる。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら