トヨタの成功、ソニーの失敗、そしてアップルとグーグルの躍進。企業の成功と失敗の背景には「タレント」を生かす人材戦略があった!『『タレント」の時代』著者・酒井崇男氏インタビュー

酒井 崇男 プロフィール

タレント自身もまた、ある分野のプロフェッショナルやスペシャリストなんですが、タレントと呼ばれる人たちは、新しい価値を創造し、魅力ある商品をつくるという目的意識が強い人です。彼らは知識獲得能力も非常に高く、二つ以上の分野にまたがるスペシャリストであることも多い。

だからプロフェッショナルの中でもタレント的な人もいれば、与えられた仕事をきちんとこなすことに長けた人もいます。後者のようなタイプの人は、タレントが力をうまく引き出すことでチームで機能を果たすことができるのです。

『「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論』 著者:酒井崇男 
講談社現代新書/本体価格880円(税別) 

なぜソニーは消費者が欲しがる商品を生み出せなくなったのか? なぜトヨタはいまでも売れるクルマをつくれるのか? アップルやグーグルなどがマネをして成功した日本のやり方とは?
そこには「タレント」と呼ばれる優秀な人材を生かす仕組みがあった。
市場も成熟化し、生産方法も世界中で標準化したいま、企業の浮沈の鍵は、消費者が欲しくなるような新しい商品を生み出すことにつきる。
そのためには単なるプロフェッショナルともスペシャリストとも違う、価値創造の中心となる「タレント」といわれる新商品を生み出せる優秀な人材と、組織内でタレントを生かすための仕組み作りが決定的に重要。
タレント人材とは何か、その仕組みとはどんなものなのかを詳細に解説。
「タレント・マネジメント」の人事・組織コンサルタントとして活躍する著者によるかつてない人材戦略論、誕生!!

私たちの労働は四つに分けてみるとわかりやすい

Q 多くのビジネスマンにとって、本書で出てくる労働の四つの象限というのは、かなり納得する人が多い話だと思います。

酒井 労働はふたつの軸で考えるとわかりやすいという話ですね。

 一つ目の軸は、定型的な仕事か非定型的な仕事かという軸。

 二つ目の軸は、知識が必要かどうかという軸。

 その二つの軸で四つの象限ができます。

まず知識をそれほど必要としない定型的な仕事というのは、たとえばファーストフードの店員とか工場の新人工員です。決められたことを決められたようにやることが彼らの仕事です。

次に知識はそれほど必要としないけれど、非定型的な仕事。ここでは目標は決まっているけれど、そこにいたるまでの方法を自分で考えるような仕事です。いわゆる改善型のワーカーという言い方ができます。

知識が必要な仕事でも定型労働と非定型労働にわかれます。たとえば税理士や会計士、臨床医などは、知識は必要ですが、やることは定型的です。創造的な臨床医は怖くて患者は命を預けられないでしょう。創造的な会計士がいたら、それこそ逮捕されかねません。