ネットではなんと1本30万円! マッサンが作った最高のウイスキー「昴」をご存知か 手に入らない!

週刊現代 プロフィール

「やっぱり北海道の『誇り』だよ。地元発祥の数少ない企業だから、愛着は強いね」

「『質のニッカ』と呼ばれるように、昔からニッカは利益より品質を重視する、つまり本物志向なんだよ」

原価が高くなり、利益が少なくなっても、本物のウイスキーを日本人に飲んでほしい。それは、政孝が生涯持ち続けた信念でもある。

しかし、時代の変化もあり、当初『昴』を製造することに社内では反対の声もあったという。

「地域限定では大した本数は売れないし、そのためにラインを割くのは非効率だという上層部の意見と、地域に根差した現場との軋轢はありました。でも最後はやっぱり、会社も現場の意志を汲んでくれて、発売することができたんです」(前出の池内氏)

ロマンを呼び覚ます味わい

老舗バーを10軒近くはしごし、時間はすでに深夜2時。だいぶ酔いも回ってきた。結局、すすきので『昴』を見つけることはできず、千鳥足で転びそうになりながら、ホテルに戻った。

翌日、『昴』を作った地にならあるはず、とニッカの余市蒸溜所を訪ねることにした。札幌から余市までは、電車で約1時間半。余市工場には、『スーパーニッカ』や『G&G』の初期ボトルが展示されていたが、『昴』は展示品すら見つけられなかった。社員に聞いても「ここに在庫はない」と言う。

もはや、あきらめるしかないのか……。そう思っていた時、携帯電話が鳴った。実は東京を発つ前、小樽でバーテンダーを務め、竹鶴アンバサダー(大使)でもある野田浩史氏に『昴』について話を聞かせてもらっていたのだ。電話はその野田氏からだった。

「先日お話しした時は、もうないと言いましたが、『昴』がうちのバーの奥に少しだけ残っていたんです。良かったらぜひ飲みに来てください」

ついに『昴』を発見した—急いで野田氏がチーフバーテンダーを務める、オーセントホテル小樽のキャプテンズ・バーへ向かう。

カウンターに座ると、確かにそこには『昴』と書かれたラベルのウイスキーボトルがあった。「北海道限定品」と型押しされた文字が眩しい。

「普段、お客様には出していないので記憶から抜け落ちておりました。たまたま個人的な趣味でコレクションしていたボトルの中にあったんです。料金は特に決まっていないのですが、今後、お客様にお出しするかどうかは、少し考えさせてください(笑)」(野田氏)

今回、特別に提供していただいたことに感謝しつつ、より味を楽しむため、ロックではなく、あえてストレートで飲ませてもらうことにした。