大阪都構想「隠された真実」を考える~なぜ市民の税金は「市外」に流用されるのか

藤井 聡 プロフィール

例えば、2007年に郵政が民営化された際、郵便局を複数に分社化してもサービスレベルは悪くならない、むしろ良くなる、と言われていたのをご記憶だろうか? 当時の政府資料にはそういう趣旨のことがいつも明記されていた。しかし蓋を開ければ、ものの見事に、その「タテマエ」の約束は破られた。

事実、国会で「時間外窓口の廃止や遅配が相次ぎ、地域住民の利便性が著しく低下したという現状」(平成二十年十月二十三日衆議院)が問題となっている。なぜそうなったのかと言えば、その郵政改革案が「サービスレベルを下げない」という事を「保証」する程に十分に作り込まれたものではなかったからである。そしてそうなるであろうことは、実は民営化「前」から明白な事実として様々に指摘されていたのだが──当時は、そういう声は全て「無視」され、結果、郵政は民営化され、案の定サービスレベルは低下したのである。

つまり、制度改革の前の「政府のタテマエ」的説明は、鵜呑みにしてはならないのである。それを信ずるか否かを判断するには、その改革の「中身」を詳しく精査しておかねばならない。

そして筆者が協定書に書かれている都構想の仕組みを「精査」した結論こそが、「今、大阪市民に使われている税金の一定部分が、大阪市「外」に使われるようになる」という「事実4」だったのである。

なぜ,大阪市民の税金が,大阪市「外」に使われるのか? 

藤井聡・京大大学院教授

ではなぜ、筆者がそう確信したのか。詳しくは、筆者の原稿(http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/02/03/fujii-129/)を精読いただきたいが、ここでは、その要点のみを簡潔に述べてみよう。

まず、都構想が実現すると、現時点では、2200億円の市民の税金が、それに対応する事業と共に大阪府に移される。「行政的説明」では「だから、大阪市民のサービスレベルは変わらない」ということになっている。が、政府の仕組みというのは、それほど単純なものではない。

まず理念的な視点から説明しよう。そもそも、都構想の理念は「ワン大阪」。つまり、「府と市」の境を無くすことである。一方で、「大阪市民の税金が,大阪市「外」に使われないようにする」ためには、当然ながら「府と市」の間に「壁」を作らなければならないが、これはワン大阪の理念に反しているため、「実質上」ワン大阪の理念のこだわる限り、その「壁」は完璧なものとはならない。一方で大阪市と市以外でどちらが豊富な税収があるのかと言えば、言うまでも無く大阪市だ。したがって、市と府の間の「壁」が無くなり、財政上のワン大阪となれば、水が高きから低きに流れるように市のカネが府で使われるようになるのは必定なのである。

──ただし、以上の説明はわかりやすいが、理念的過ぎ、厳密さにかける。ついては以下、制度の話をしよう。