大阪都構想「隠された真実」を考える~なぜ市民の税金は「市外」に流用されるのか

藤井 聡 プロフィール

例えば、都構想の住民投票で都構想が認められても、大阪府の名称は大阪都に変わるわけではない(事実1)が、この事実を知らない大阪の方は実に多い。しかも、この事実を伝えた時の多くの方の反応が「えっ?そうだったの。なぁんだ。」という反応だ。しかしこれは事実なのだから、これを未周知のままでは当然フェアな投票はできない。

事実2は、区割りの問題だ。数年前には周辺自治体も含めて再編を行い広いエリアで「特別区」を設置する構想だったのだが、現時点は大阪市「だけ」を五分割するものとなっている。この点をして、しばしば今回の「都構想」は「大阪市五分割構想」と言った方がわかりよいのではないかという声もある程だ。言うまでも無くこの事実は、投票者全員に共有されねばならない。ただし最新のアンケートによれば、知っている大阪市民は実に53%しかいないという。この事実の周知は絶対必要だ(なお事実5,6,7については本稿では触れないが、またの機会に詳しくお話したいと思う)。

「大阪市民へのサービスは変わらない」という説明を鵜呑みにしてはならない

さて、これら7つの中でもしばしば論争となるのが、「事実3:年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」します。」「事実4:流出した2200億円の多くが、大阪市「外」に使われます。」の二つである。この前者の方はその趣旨を否定する論調は聞こえてこないが、特に論争となるのは後者の事実4だ。

言うまでも無く筆者は、この事実4は、紛う事なき事実であると確信している。その根拠は既に、先に紹介したインターネット記事の翌週に公表した「大阪都構想(2)」の記事の第二部『なぜ,大阪市民の税金が,大阪市「外」に使われるのか?』の中で子細に論じている(http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/02/03/fujii-129/)。

ただし、この記事はまだ知られていないようで、この「事実4」の正当性は、未だ広く周知されていないようだ。

例えば、現在、大阪市特別顧問をお勤めで、大阪都構想の検討段階でもアドヴァイスをしてこられた(そして、筆者もよく存じ上げている)高橋洋一教授が、この「事実3」「事実4」について論じている。そして、それらは「問題無い」(厳密に言うと、「事実4」は起こりそうにない)と指摘している。なぜなら、「住民が受けるサービス自体には変化がない」からだという。そしてこの点を持ってして、「橋下市長より藤井教授のほうが分が悪い」と指摘している。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42011

しかしそれは残念ながら誤解であり、「大阪都構想(2)」で子細に論じた内容にお目通しになる「前」のご判断なのではないかと思う。詳しく理由を述べよう。

確かに、現在の行政が用意した「協定書」では、そのように書かれている(それは、当方の『7つの事実』の原稿でも「行政的にはもちろん,そのように説明されています」という文言で既に指摘している通りだ)。

しかし、そうした行政的説明はあくまでも「タテマエ」にしか過ぎないのであって、行政がどれだけ「大阪市民のサービス自体には変化がありません」と説明したとしても、実際にその制度を運用した時にそのタテマエが実現するかどうかは、全く別問題だ。つまり、そして高橋氏の議論は、あくまでも「タテマエ論」として正当であるに過ぎないのである。