宇野亞喜良 第2回
「ぼくらの時代の人たちはみんな悪口を言い合うのが好きだよね」

島地 勝彦 プロフィール

宇野 ずいぶん豪華な現場ですね。いまではとても考えられないお金の使い方ですよね。

ヒノ 毎週カラー6ページで入稿していたんでしょう?

シマジ 毎週火曜日がデッドラインだったんですが、入稿はいつもその日の朝でしたね。

宇野 柴田先生と横尾ちゃんを一年間ホテルにカンヅメにしたそうですね。

シマジ あの時代小説の画期的なアイディアとストーリー展開は、横尾さんの奇抜な発想が取り入れられた部分が大きいんです。シバレン先生と横尾さんはすごく気が合ったようで、一日中いろんなことを話し合っていましたね。横尾さんが熱く語る空飛ぶ円盤のこともシバレン先生は信じていましたよ。

宇野 『うろつき夜太』の書籍には、たしか男性の日焼けした上半身のヌード写真が使われていましたよね。なぜかそれが印象に残っているんですが・・・。

シマジ さすが宇野先生ですね。じつはあのモデルはわたしなんです。当時はヨットに凝っていまして、真っ黒に日焼けしていたんですよ。そんなわたしを見て横尾さんが「シマジ君、君のヌードを入れようか」と言いだしましてね。カンヅメ先の高輪プリンスの庭で社カメの狩野ちゃんに撮影してもらったんです。

そのとき横尾さんが「胸のあたりに木の葉の陰が出来るようにしてくれる」と言ったのを思い出しました。木の葉の陰があれば生々しくならないと判断されたんでしょう。カラー1ページで堂々と使ってくれました。でもそれがわたしの上半身ヌードだとわかった人は一人もいませんでした。

立木 どうせお前のことだから自慢して女に見せたんだろう。

シマジ 何人もの女になにも言わず見せたけど、そのヌードの上半身がおれだと見破った女は一人もいなかった。人生とはそんなものですよ。

ヒノ きっともうシマジさん自身からはかけ離れたアート作品になっていたからでしょう。

立木 ああ、よかった。もしその頃シマジと出会っていたら、おれがシマジのヌードを撮るはめになっていたかもしれないからな。

ヒノ 立木先生はシマジさんのパスポート写真も撮らされているくらいですから、当然そうなったでしょうね。