【沿線革命019】  
乱立する羽田空港への新しいアクセス鉄道構想一覧

阿部等(交通コンサルタント)

羽田・成田リニア新線構想

2009(平成21)年4月に神奈川県が『成田~羽田超高速鉄道整備構想 検討調査報告書』を発表した。

大深度地下のシールドトンネルで80kmの新線を建設し、平均速度300km/hで所要時間15分とした。事業費1.3兆円、年間運営費1,200億円と推計された。

仮に片道運賃5,000円としても、損益分岐点は年間2,400万人の利用となり、実現性は疑問視されている。

首都高中央環状線の全通

2015(平成27)年3月7日に、首都高速 中央環状線の大井JCT-大橋JCTが開通し、中央環状線が全通する。(http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/about/

これにより、羽田空港と渋谷・新宿・池袋が直結され、渋滞がなければ、それぞれ20分弱から30分弱で移動できるようになる。今までの都心環状線ほどの定常的な渋滞は生じないと予測される。

現行のリムジンバスの所要時間は、渋谷30~70分、新宿35~75分、池袋35~80分である。中央環状線へルート変更することにより、速達性と定時性が大幅に向上する。また、利用増が見込まれ、車両と乗務員の回転効率が向上して余裕も生まれることから、増便もされるだろう。

鉄道がそれらに対抗して利用者の選択を得るには、高い利便性を実現することが不可欠である。

次回は、乱立する羽田空港へのアクセス鉄道構想のうち、JR東日本が関わるルートに関する提案を紹介しよう。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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