さらにワイルダーに続く存在として、デヴューから23連勝(17KO)を続けてきたイギリスの暴れん坊、タイソン・フューリーの存在も忘れてはいけない。放言癖でも知られるフューリーのキャラクターは貴重で、クリチコ、ワイルダーのどちらにぶつけても話題を呼ぶカードになる。
加えてロンドン五輪で金メダルを獲得したアンソニー・ジョシュア(イギリス/10戦全勝10KO)、シャープな攻撃が小気味よいジョセフ・パーカー(ニュージーランド/12戦全勝10KO)、力士のような体型に似合わぬスキルが売りのアンディ・ルイーズ(アメリカ/24戦全勝(17KO))といった楽しみなプロスペクトたちも各国で芽を出し始めている。中でも英国の雄、ジョシュアの将来性は高く評価され、ゆくゆくはワイルダーと国境を越えたライバル関係を築いていくことになるかもしれない。
こういった楽しみな若手たちと次々と対戦し、現代のヘビー級を盛り上げていくために――。クリチコはまずはニューヨーク帰還戦で結果を出し、ファンをエキサイトさせ、アメリカでの商品価値を高める必要がある。ジェニングスを倒して豪快さをアピールできれば、この国のボクシングファンもヘビー級の魅力を少なからず再認識するはずだ。
地上波放送復活、フロイド・メイウェザー(アメリカ)対マニー・パッキャオ(フィリピン)戦の交渉本格化といったビッグニュースが新春から続いた2015年は、米ボクシングにとって激動の年になりそうな予感が漂う。今年がヘビー級にとっても復興の年になるかどうかは、トップに君臨する役者たちの活躍次第。まずはクリチコが階級最強を改めて証明できるかどうか、4月の防衛戦では、そのお手並みを拝見である。