偏差値だけではない! オックスブリッジ学部入学に求められる「資質」

「日本人、オックスブリッジに挑む」学部編
オックスブリッジ卒業生100人委員会

3.面接

最後に、書類選考を突破すると学部受験の最大の難所が来る。ここで面接に呼ばれた受験者の半数以上が落とされるのだ。そして、オックスブリッジの合格パターンがない理由はここに存在する。読者の方々もどこかで聞いたこともあるかもしれないが、オックスブリッジ特有の面接は今までに数々の伝説を残してきた。正直、どこまでが本当なのか分からない話も多いが、突拍子もない質問が多いのも事実だ。実際の面接の質問やエピソードをまとめた本などは多く出ており、有名なものでいうと、John Farndonの"Do you think you’re clever? "が挙げられる。とても楽しく読むことができ、オススメである。

面接は12月に2週間にわたって、およそ2万4000回行われ、一回におよそ15分から30分かかる。面接官は受験者の将来のTutorになる人であり、主に一人か二人の面接官が一度の面接にいる。二人いる場合、両方と喋ることもあるかもしれないが、多くのケースは一人が質問し、もう一人がやりとりを見て聞いているだけだ。この面接の目的は、面接官が受験者に難問を与え、どのように受験者が取り組むのかを見る。つまり、数学部では数学の問題を、歴史学部では歴史の問題などを受験者に解かせる。むしろ、オックスブリッジの面接は一般的な質問をほとんどしない。「あなたが何故この科目に興味があるか」などは全て志望動機書に書いてあるからであるだろう。私の場合、面接室に入ってすぐ数学の問題を解かされたので少し戸惑った思い出がある(笑)。そして、面接の問題の多くは受験者が今までに出会ったことのないようなものが多く、初見で解くことはなかなか出来ない。そこで面接官は一つずつヒントを受験者に与えていき、受験者を答えへと導いていくのである。実はこれは実際の大学のTutorial と全く一緒なのだ。つまり、面接というのはTutorと学生との模擬Tutorialなのである。面接官であるTutorは受験者の学生を実際に教えることによって、その生徒をこれからも教えていきたいかどうかを面接で判断する。

私個人の見解になるが、面接で評価される学生の資質は基本的な理解力、科目に対する深い知欲や情熱、コミュニケーション能力、そして人格や振る舞いなどのパーソナリティだろう。教授や先生のみならず、PhDの学生であるTeaching Assistantにも敬意を払い、あくまでも純粋に学問を追究する姿勢を見られるのだ。特にそれを感じたのは、大学に入学した後に出会った様々な科目の人間が皆、それぞれの学問の「フリーク」だったからだ。以前の羽生さんの「思考の作法 」でも述べられている"自然発生する学祭問答"が模範的な例である。自分がやっている科目についての話題が出ると、目を輝かせて自分の意見を述べてくる(もちろん、全く興味のない科目に関しては、ただうんざりするだけだが笑)。さらに、見られる資質のもう一つは多様性である。学問の外に力を入れているスポーツや活動も重要視される。例えば、ラグビー全国大会出場経験者でありながら、ピアノも上手で、演劇もこなす物理専攻の学生がいたりする。本当に出木杉君のような人間がオックスブリッジにはゴロゴロいるのだ。しかしながら、オックスブリッジは出木杉君の集まりではなく、多くの学生のバックグラウンドは多種多様であり、皆それぞれ違う一芸に秀でていることが多い。国籍も一芸の一つだと私は思っていて、実際にTutorから言われたのは「お前を取ったのは、日本人を教えたことがなかったから」だそうだ。もちろんジョークであると私は信じたい。

4.合格発表

3月までに必ず合格発表があると公式には書いてあるが、実際はもっと早く、12月の面接が終わって一週間程で結果がわかる。合格者には直接電子メールで通知が届くのだ。合格には二種類あり、条件付きと無条件合格。条件は成績のみで、例えば「A-levelの最終成績で三科目のAを修めよ」などと合格通知には書かれている。条件付きの合格がほとんどのケースで、無条件合格は、ギャップイヤーやA-levelなどの成績が既に出ている場合を除いて、ほとんど無いだろう。

あとオックスブリッジが本当に欲しい学生には、A-levelで二科目のEなどの低い条件を与えることもある。ちなみに、私は今でも鮮明に覚えているが、合格通知が届いた時にはそんなに早く来るわけがないと思った上に、受かる自信もなかったので、とても驚き喜んだ。実は私にはメールが二通来て、それぞれのタイトルが"Congratulation"と"Sorry"だったので、大学が間違って不合格者の私に合格通知を送ってしまったのだろうと勘違いして最初は落ち込んでしまった(笑)。その後すぐに、最初の合格通知に添付されるはずのファイルがされてなかっただけで二つ目のメールに再度添付したという内容を読んで安心した。合格通知を見るだけなのに、すごく疲れた思い出がある。しかし、人によっては1月に合格通知が届くなど、時期にズレがあったりもする。読者の皆さんも同じような経験をしただろうが、合格通知を見るまではすごくストレスが溜まるものだ。オックスブリッジはそういうところを配慮してなるべく早急に結果を出すようにしているのだろう。

最後に

オックスブリッジの日本人の学部生数人に入学した当時の話を聞くと、大体の人が「入れた」というより「入った」という感覚のようだ。日本人だけではなく多くのオックスブリッジの学部卒業生は皆、オックスブリッジを卒業したからといって他人より特別だとは一切感じず、ただの学生という意識が高い。どこにでもいる学生と同じく、昼は勉強やクラブ活動に参加し、夜は飲みに行ったり、デートに誘ったり、親友と二日酔いでTutorialに参加したり、試験勉強で夜中まで図書館にいたり、時にはTutorと酒を酌み交わしたりする。

しかし、オックスブリッジの文化や伝統が加わることによって、"Work Hard, Play Hard"を最大限に実現することが可能なのである。私は学部時代をオックスフォードで過ごせたことが何より幸せだった。修士や博士から入ってくるとまた違った楽しみ方があるのだろうが、未成熟の時期にオックスブリッジで濃厚な時間を楽しむことが出来るのはやはり特別なのだろうと私は思う。これからオックスブリッジにもっとたくさんの日本人が来て、私よりもっと楽しんでもらいたいと強く願いたい。

最後の試験終了後に友人が祝ってくれる伝統, Trashing。

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                                                    オックスブリッジ100人委員会より