[サッカー]
大野俊三「アギーレジャパンの課題は攻撃面だけにあらず」

スポーツコミュニケーションズ

吉田、森重に求められる対応能力

 もちろん、アジア杯で見つかった課題は攻撃だけではありません。守備においても、改善すべき点があります。UAE戦の失点シーンは、右サイドからDFの裏へボールを送られ、抜け出したFWアリー・マブフートに決められました。あの場面でのDF吉田麻也とDF森重真人の対応は、お粗末だったと言わざるを得ません。ラインコントロールをする中、CB2人の間にポジションをとられたことで森重も吉田も反応が遅れていました。どちらが対応するのかという意思疎通が十分ではなかったのでしょう。ただこの場面のみならず、これまで日本が苦戦した試合では、CBのパフォーマンスが良くなかったことが多いと私は考えています。チームの守備を支えないといけないポジションが、一番のウィークポイントになりつつあるのです。

 森重、吉田にはもっと個の対応能力を高めていってもらわないといけません。まずボールと相手の位置を踏まえてのポジショニング、相手との適切な間合いを見極める精度を向上させる。これらがレベルアップすれば、相手のアクションに対する反応が速くなります。ポジショニング、間合い、反応を踏まえた“予測”を高いレベルで行えば、自身のみならず、周囲の味方も2つ、3つと先のことを考えることができるのです。経験による部分も大きいですが、そうした対応能力が上がってこなければ、世界基準には達しないと思います。

 攻守はどちらも勝利する上で大事な要素です。しかし、まず負けないためには、守備を安定させること。90分間をしっかり耐えられるバランスを構築した上で、どう得点を奪って勝利をつかみとるか。攻撃はシチュエーションに応じて、いくつものかたちが考えられます。しかし、守備は自分の役割を整理できていなければ、適切な反応ができません。相手は反応が遅れたところを突いてきます。そうした反応の遅れが少しでも短くなるように、彼らには意識を高めていってほしいところです。

 もちろん、森重や吉田だけではなく、日本の選手ひとりひとりが個の能力を高めていかなければいけません。日々のトレーニング、練習試合、公式戦で何ができて、どこができなかったのか。そうやって常に自分のプレーを分析していってほしいですね。

<大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール>
元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アント ラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引 退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima- hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年J リーグベストイレブン、元日本代表。