海上保安庁の発表によると、1月27日、沖縄県・尖閣諸島の久場島沖で、中国海警局所属の公船「海警」2隻が日本の領海を侵犯した。2014年1年間だけでも中国船による尖閣諸島海域での領海侵犯は30回を超えており、日中間の政治的緊張関係は続いたままだ。
だが、経済関係に目を転じてみると、様相はまったく違う。相次いでまとまりつつある2014年の統計数値をみると、政治は冷え込んでも経済関係は熱い「政冷経熱」が鮮明になっていることが分かる。
財務省が1月26日に発表した貿易統計によると、2014年1年間の日本から中国への輸出額は13兆3844億円と6%増えた。また、中国から日本への輸入額は19兆1705億円と8.6%増えた。輸出入を合わせた貿易総額は32兆5550億円と7.5%の増加だった。いずれも、過去最高の金額である。
中国からは半導体など電子部品や通信機器の輸入が大幅に増えた一方、日本からは自動車や化学光学機器などが大きく伸びた。鉄鋼や非鉄金属、金属製品など輸入も大きく伸びており、日本の製造業が最終製品を作るに当たって必要な原材料を中国からの輸入に依存している姿が浮かび上がる。
当然、輸出よりも輸入の方が増え方が大きいため、対中貿易赤字額は5兆7861億円と15%増え、過去最大を更新した。景気の減速懸念が広がっている中国からすれば、日本向け輸出で稼ぐ貿易黒字は年々大きくなっており、経済的に無視できない規模になっている。