2015.02.09

福島第一原発事故 東日本壊滅の危機に最も近づいた「2号機爆発」の真相 第3回

ドキュメント 福島第一原発事故 東電技術者たちが語った「恐怖の瞬間」
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班

午後8時15分ごろ、高橋フェローが発言した。

「本店、本部の方、ちょっと聞いていただけますか。今1F(福島第一原発)からですね、居る人たちみんな2F(福島第二原発)のビジターズホールへ避難するんですよね? ちょっと増田君の意見を聞いてください」

福島第二原発の増田尚宏所長(52歳)が引き取った。

「2Fのほうは、1Fからの避難者のけが人は正門の隣のビジターズホールで全部受け入れます。そしてそれ以外の方は全部体育館に案内します」

増田は福島第一原発用の緊急時対策室も用意すると付け加えた。

「緊対を、我々の2Fの4プラント緊対と、1Fから来た方が使える緊対と、2つに分けて用意しておきますので、そこだけ本店側は、両方の使い分けをしてください」

この後、社長の清水が吉田に呼びかけた。

「あの、現時点でまだ最終避難を決定しているわけではないということをまず確認してください。今しかるべきところと確認作業を進めております」

吉田は「はい」と答えた。

清水が念を押す。「現時点の状況はそういう認識でよろしくお願いします」

吉田は、改めて「はい。わかりました」と答えた。

14日夜、テレビ会議でやりとりされた退避の議論はここまでだった。

運命の瞬間     4号機爆発まで5時間10分

日付が変わり事故から5日目を迎えた3月15日午前1時すぎ。福島第一原発では、2号機への消防注水がひたすら続けられていた。

燃料切れが判明した後、およそ30分かけて燃料が補給され、14日午後7時57分までに2台の消防車が起動し、注水が開始された。

2号機の原子炉圧力容器の圧力は、いったん6気圧程度まで下がった後、乱高下を繰り返し、14日午後11時25分には31気圧まで上がったが、日付が変わった15日午前1時すぎからは、再び6気圧程度を推移するようになっていた。9気圧前後の消防車のポンプ圧で、十分水が入るはずの圧力だった。復旧班は、2台の消防車の燃料を数時間おきに補給しながら、2号機への注水を続けていた。

事態をこれ以上悪化させないためには、とにかく原子炉の冷却を続けるしかなかった。その唯一の手段が、消防車による注水だった。