福島第一原発事故 東日本壊滅の危機に最も近づいた「2号機爆発」の危機 第2回

ドキュメント 福島第一原発事故 東電技術者たちが語った「恐怖の瞬間」
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
福島第一原発の最悪シナリオがもし起きていれば……近藤駿介内閣府原子力委員長が作成した「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」で明らかになった、最悪シナリオ発生時における移住を迫られる地域。近藤委員長は、最悪時には、福島第一原発から半径170キロ圏内が、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算した。同試算では、東京都、埼玉県のほぼ全域や千葉市や横浜市まで含めた、原発から半径250キロの範囲が、住民が移住を希望する場合には認めるべき汚染地域になると推定した
CG:DAN杉本、カシミール3Dを用いて作製。高さは2倍に強調している

紆余曲折の末、格納容器のベントに向かって動き出したが、作業はのっけからつまずく。吉田は、いずれRCICが停止することを見越して、仮設照明用小型発電機を使って電気で動くベント弁を開く準備を整えていた。しかし、肝心の発電機が過電流により停止してしまったのだ。

そこで、空気圧で動くAO弁と呼ばれるベント弁を開く作業に取りかかる。

「ウェットウェルベント。AO弁、開にします」

「ドライウェル圧力低下、確認できません」

「ベントができているのか?」

「空気が足りないと思われます」

「2号機、中央制御室、ベントできていません!」

既設の空気ボンベでは、ベント弁を開く十分な空気圧が得られなかったのだ。相次ぐトラブルに免震棟にいる幹部も動揺を隠せない。

「格納容器の圧力は?」

「急速に上昇。現在700キロパスカル。さらに格納容器内の線量も上昇。FP(消火系ライン)が格納容器内にたまっています」

「ベントを急ぐしかない!」