福島第一原発事故 東日本壊滅の危機に最も近づいた「2号機爆発」の真相 第1回

ドキュメント 福島第一原発事故 東電技術者たちが語った「恐怖の瞬間」
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
免震重要棟の緊急時対策室本部席 写真:東京電力

技術班は、午後4時ごろに水位は燃料の先端に到達するという予測をはじき出した。このままでは、あと3時間半ほどで2号機もメルトダウンにいたってしまう。なんとか原子炉を冷却しなければならない。その方法は、今や一つしか残されていなかった。それは、消防車による注水だった。ところが、3号機の爆発の影響で、その注水に向けた作業は止まったままだ。

誰かが現場にいって、消防車やホースの状態を確かめ、今や最後に残された命綱ともいえる200メートルにわたる注水ラインを作らなければならない。

吉田がマイクで呼びかけた。

「本当に申し訳ないが、もう一度頑張ってほしい」

現場にもう一度行ってほしいという懇願だった。

免震棟に戻ってきた作業員たちに、動揺が走った。1号機、3号機と2度にわたる爆発を経験していた。2号機もいつ爆発するかわからない。今回、たまたま無事に戻ることができても、次はどうなるか、もはやわからなかった。

復旧班長が「いける者はいないか?」と声をかける。作業員の誰もが顔を強ばらせた。

そのときだった。それまで免震棟で指揮をとっていた副班長が手をあげた。

「自分がいきます」

躊躇はなかった。これまで部下や協力企業の社員が現場にいって、自分が前面に出ていないことに負い目もあった。副班長が振り返る。

「恐怖心はありました。けど、やらなければならないことが、待ったなしで目の前にありましたから。これ以上状況を悪くすることはできない。とにかくいこうとすぐ手をあげました」

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