医者も人間です! 医者を本気にさせる患者と家族の「技」

あなたは適当にあしらわれていませんか
週刊現代 プロフィール

「謝礼の有無で治療の質が変わることはありえません。でも勤務医は仕事の厳しさの割に給料が低い。受け取ってはいけないことになっていても、誰にも知られずに渡されれば、受け取る医者も少なくない。カネを受け取れば、当然、対応も丁寧になるでしょうね……」

重い病気の場合、元の健康な身体を取り戻せないケースも多い。そんな場合でも、患者や家族のふるまいが医者の対応を変える。前出の平岩医師が語る。

「希望する何かを得るために何かを失う覚悟がある。そんな患者や家族に医者は心を奪われます。

甲状腺の未分化がんという非常に進行が早く悪性度の高いがんを患った男性もそんな一人でした。大阪に住んでいたのですが、自分がいかに厳しい状況なのかもわかっていて、私のところへ来たとき、『がんの思い通りにはなりたくない。治療のために、すべてを整理してきました』とおっしゃった。仕事もすべて片づけて辞め、家族も茨城に移住する決意だ、と。

『先生、一緒に闘ってください』。そう言われて、断れる医者がいるでしょうか。

でも、患者の希望を実現するには、医者だって自分の時間や体力を削って力を尽くさねばいけない。お互い腹を括らねば実現できないのです」

毎日が真剣勝負。現在も治療を続けているという。

医者と患者Photo by Nicole De Khors from Burst

医者を本気にさせる人には、共通点がある。それは、医者を一人の人間として見ているということだ。東京ベイ・浦安市川医療センターのハートセンター長、渡辺弘之医師はこう話す。

「医者という肩書はあっても、所詮は人間。人間的に魅力のある患者さんには会うのが楽しみになりますし、本気で力になりたいと思います。すると、杓子定規ではない付き合いができ、信頼関係から治療がうまくいくことも多いのです」

医者は病気を治す職業、と割り切って接していないだろうか。

「そう思われていると、医者もさみしい。自分のことを一人の人間として見てくれる患者は好きになるんです。本来は医者が患者の体調を気づかうべきなのに『先生、最近お疲れのようですが大丈夫?』なんて言われたり、感謝の言葉をかけられたら、ぐっときてしまいますね。

命がけの闘いをするのですから、医者と患者の関係を超えてもっと仲良くなる努力をするべき。そうすれば、道は開けるんです」(前出・平岩医師)

病気を治すプロである医者を本気にさせるには、患者も家族も、治してもらうプロにならなければいけない。紹介してきたような「コツ」とちょっとした心がけがあれば、あなたにもできるはずだ。

「週刊現代」2015年1月31日号より