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医者も人間です! 医者を本気にさせる患者と家族の「技」

あなたは適当にあしらわれていませんか
他の人よりいい治療をしてほしい—そう思っても、思っているだけでは「普通の患者」。手抜きをされている可能性だってある。医者に全力を尽くしてもらうには、患者や家族にも「技」が必要なのだ。

「お任せします」はダメ

「適当にあしらう患者」「普通に診る患者」「本気を出す患者」—多くの医者は、心の中で患者を3つに分類しているという。

これまで、がん患者2000人以上の相談に乗ってきた友愛記念病院の平岩正樹医師はこう話す。

「表向き『すべての患者さんに全力を尽くす』と医者は言いますが、それはウソです。全患者に全力を注いだら身が持ちません。もちろん患者や家族にはわからないように接しますが、実際のところ、医者は患者を分けているのです」

患者や家族にとって、主治医は一人。一方、医者にとって患者は数多くいる「客」の一人にすぎない。その患者たちを平等に扱うことなど不可能だ。医療の現場には、知られざる「患者格差」が生じている。

自分が患者やその家族の立場になったとき、どうすればいいのだろうか。

「食事など生活改善の指導をしているのに守っていない患者は、検査の数値を見ればすぐにわかります。それなのに『減塩しました』なんて言われると、舌打ちしたくなりますね」

都内の大学病院に勤務する糖尿病専門医はこう話す。

医者は口にこそ出さないが、患者のウソなど一瞬で見破っている。そんな患者に全力を尽くそうと思う医者はいない。

「決めつける患者や家族」というのも手抜きをされる条件の一つである。

「よくあるのは、『頭が痛いからCTを撮ってほしい』などと、検査方法を指定してくる人です。どの検査が必要か判断するのはプロである医者の仕事ですから、内心イラっとします」(神奈川県の総合病院・脳神経外科医)

検査だけでなく、治療法まで決めつけてくる患者や家族は、なおさら敬遠される。都立広尾病院外科部長の安野正道医師はこう話す。

「最近はインターネットで病気の情報を仕入れる人が多いですが、信頼に足らないものもある。自分の病気に対する不安の気持ちは理解できますが、医者の話を聞き入れず、自分で調べた情報にしつこくこだわる方には、ひと肌脱ごうという思いは薄れてしまいますね」

一口に医者と言っても、中にはヤブ医者だっているので、医者に対する不信感を抱く気持ちもわかる。だが、聞く耳を持たない患者を説得するのは医者にとっては面倒なだけ。そんな患者は「適当にあしらう患者」の枠に入れられてしまう。

かといって、自らの病気や治療法について知ろうとせず、医者にすべて丸投げするのも良くない。

「病気について理解しようとしない患者や家族から、『お任せします』と言われると医者はやりにくいんです。何かあったときに文句を言われるのではないかと恐れてしまう。

医者任せにする人ほど、治療が進んでから『こんなはずじゃなかった』と責任を追及してくる可能性が高いからです」

『医者に手抜きされて死なないための患者力』の著者で、医療ジャーナリストの増田美加氏はこう指摘する。「すべてお任せします」という言葉は、医者にとっては「治療がうまくいかなかったら訴えるぞ」という警告に聞こえてしまうのだ。

この場合、医者は適当にあしらうことはないが、学会で定められた標準的な治療をするしかなくなる。万が一、何かが起こった場合でも「標準治療をやった結果です」と説明できるからだ。

つまり、「お任せします」と言った時点で、医者は本気を出さなくなる。