『21世紀の資本』ピケティ教授が提唱「金持ちの財産にもっと課税せよ」 もし日本で実現したら、を考える 原田泰×田中秀臣

週刊現代 プロフィール

田中 いずれにせよ、財務省は今回の「ピケティブーム」を、課税強化の契機に利用しようと考えているのではないでしょうか。

原田 そう思います。財務官僚にとっては、税率を引き上げることができれば何でもよくて、消費税増税で不況になっても構わないですから。税率を引き上げた人物が評価されるという人事システムのせいですよ。

田中 ピケティ氏も「国の債務を減らすには物価上昇が大事だから、日本政府の金融緩和は正しい。しかし、消費税増税はよくなかった」と言っていますね。

原田 私はムダな公共事業に使うくらいなら、税金は極力取らないほうがいいと考えています。もちろん、富を生み出したフリをして不当に儲けている人には、別途対策が必要ですが。

田中 日本は金持ちと庶民の格差以上に、教育格差や世代間格差が大きい。ピケティ氏は「もう経済成長は望めない」という前提で話をしているけれど、日本にはまだ成長の余地があるのだから、彼の主張を吟味するだけでなく、日本特有の問題についても対策をしなければなりません。

原田 その通りですね。単に金持ちから税金を取るより、例えば子供を塾に通わせるための補助金を出すとか、低所得者層の「底上げ」を図る政策を実行するほうが、日本では有効な格差対策になると思います。

はらだ・ゆたか/'50年生まれ。経済企画庁、財務省を経て早稲田大学政治経済学部特任教授。『若者を見殺しにする日本経済』『徹底分析アベノミクス』他編著書多数
たなか・ひでとみ/'61年生まれ。上武大学ビジネス情報学部教授。日本経済・日本経済思想史が専門。編著書に『日本経済は復活するか』『デフレ不況』他多数

「週刊現代」2015年1月31日号より