ダボス会議にようこそ 第1回 日本人の知らない「ザ・国際会議」の正体

齋藤 ウイリアム浩幸

アメリカで育った「ベンチャー支援コンサルタント」として、また、日本の企業や政府をサポートする立場で、ダボス会議について知るさまざまな事柄を書かせていただければと思います。

私が2011年に選出された「ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)」は、世界経済フォーラムによって世界中の40歳以下の中から毎年150人くらいの人が選ばれます。現在約900人、任期は6年。任期中に一度はダボス会議に行けることになっています。メンバーになると、無料でハーバード、イェール、オックスフォード大学などで講義を受けることができます。ちなみに日本には約50人のYGLがいます。

YGLにはどうすれば選ばれるのか? じつは誰の推薦によって選ばれるかは明らかにされていません。

推薦後、外部機関の二次審査を経て選出されるのですが、選出された人間には、ある日突然、「おめでとうございます。あなたがYGLに選ばれました」という英文メールが届きます。日本人の場合、選ばれた人の中には、ジャンクメールだと思って消してしまう人もいるくらいで、世界経済フォーラム事務局は連絡がつかずに苦労したという話も聞いたことがあります(笑)メールの2週間後くらいに確認の電話がかかってきて、やっと本人が信じるというパターンです。

まだまだ知名度の低い日本ではそんな感じですが、他の国々では、YGLに選ばれるということは、新聞の一面記事になるニュースです。

たとえば「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「チャイナタイムズ」ではフロントページを飾ります。また、シンガポール、マレーシア、フランスでも、ビッグニュースになります。名刺に「YGL」と書くのはひとつのステータスになっています。

それではそんなことをしている「世界経済フォーラム」とはどんな組織でしょうか。1971年(私が生まれた年です)、ドイツ生まれの経済学者、ジュネーヴ大学のクラウス・シュワブ氏によって設立されました。いまや世界中の要人が集まる国際会議を主宰する組織が、たったひとりの学者のアイデアから始まったというのは、驚くべきことです。シュワブ氏の博士論文のテーマはもともと「マルチ・ステークホルダー」でした。当時シュワブ氏は33歳の若手学者。その彼が各国大統領、首相をはじめ、いろいろなバックグラウンドを持つ政治家、経営者や宗教家、大学教授、文化人を集めて議論しようと呼びかけたのです。