【沿線革命012】
「ゆりかもめ」延伸、湾岸新地下鉄の可能性は?

阿部等(交通コンサルタント)

中央区が熱望する地下鉄は?

一方、中央区は長期的な目標として地下鉄の整備を目論んでいる。区議会でも多くの会派から待望論が出され、2013(平成25)年10月に、中央区議会地下鉄整備促進議員連盟が発足した。

国の動きとして、2015(平成27)年度中に、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についての交通政策審議会答申が取りまとめられる。中央区は、それに盛り込まれることを目指し、2014(平成26)年度に1,000万円の予算で地下鉄計画検討調査を進めている。概略ルート・需要予測・概算事業費等が検討されている。

2014(平成26)年12月の都主催の東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会では、「BRTの他に地下鉄も必要」との意見が出され、知事は「大きな提起があったことは重く受け止めて検討していく。」と答えた。

具体的なルートや駅位置の候補は明らかとされていないが、最も良さそうなのは、東京メトロ日比谷線の東銀座から築地へ向って直角に曲がっている箇所から直線方向に分岐させ、臨海高速鉄道りんかい線の国際展示場と結ぶルートだろう。

東銀座-国際展示場で5.0km、工費節減のため日比谷線・りんかい線との重複区間は線路を共用すると分岐箇所間で4.0kmとなる。利便性を高めるために築地6丁目・勝どき・晴海・新豊洲・かえつ学園と多めに駅を設置すると平均駅間距離800m強、工費節減のために築地6丁目とかえつ学園を設置しないと平均駅間距離1.3km弱となる。

近年の地下鉄の事業費は、1km当たり300億円、小断面の大江戸線で250億円程度である。横浜高速鉄道みなとみらい線のように平均駅間距離を800m、かつ立派な駅構造として1km当たり700億円以上となった例もある。

東銀座-国際展示場は、工事費高騰のあおりもあり、既設線との重複区間は線路を共用し、駅を多くして1,800億円、少なくして1,500億円程度となろう。

地下鉄とした場合、地平とホームの間の上下移動が生じ、また運営費単価が高い分、BRTやロープウェイと比べて高頻度運行もままならない。駅を多めとした場合の平均駅間距離800mも決して短くない。

日比谷線とりんかい線へ直通運転すると、それらの路線の利便性に影響する。新設区間のみで運転するには、折返しホームが必要となり、工費がさらに数百億円増える。乗り換えも生じる。

客観的に評価して、地下鉄を熱望している皆様には大変に申し訳ないが、地下鉄は高コストかつ低利便と言わざるを得ない。

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