【沿線革命012】
「ゆりかもめ」延伸、湾岸新地下鉄の可能性は?

阿部等(交通コンサルタント)

晴海通りへのBRT導入は得策でない

BRTが高く評価され、湾岸部の開発が順調に進み移動はBRTが当たり前となれば、居住者向け6万人の輸送力では不足となってくる。そもそも、環状2号線の沿道より東側のエリアも便利になるよう、晴海通りにも利便性の高い交通システムを導入したい。

では、晴海通りにはどういった交通システムを導入すべきだろうか。

一般車と一緒に走る通常の路線バスは、速達性も定時性も劣り、新しい時代の湾岸部の交通システムとして適切でないことは言うまでもない。

専用レーンと優先信号により速達性と定時性を確保してBRTとするのは、信号のほとんどない環状2号線ほどはうまくいかない。晴海通りは交差点の数が多く、数寄屋橋のようにスクランブル交差点もあり、優先信号にしても、元々の自動車向けの青時間が短く無理がある。

ゆりかもめの延伸は地元が反対

2000(平成12)年の『運輸政策審議会 答申第18号』において、ゆりかもめの豊洲-勝どきは「2015(平成27)年までに整備着手することが適当である路線(A2)」に指定された。

ゆりかもめの有明-豊洲はA1(開通済み)、豊洲-勝どきはA2(2000(平成12)年『運輸政策審議会 答申第18号』より)

国の答申に載っており、さらには2003(平成15)年に都市計画決定までしている。当然ながら、時期は遅くなってもいつかは実現するだろうと多くの人は考える。2020年東京五輪に向けた都市開発や交通インフラ整備を解説した本や雑誌も、たいていこの計画を紹介している。

ところが、中央区はこの計画を全く否定している。2012(平成24)年2月24日の中央区議会 東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会での吉田不曇副区長の答弁を見ると、驚いてしまう。(以下の「 」は中央区議会HPから抜粋)

「豊洲から先の実現可能性は基本的にゼロ」「計画書に載せておくこと自体が問題」「地元にとって何の意味もない交通手段」「地元の方も含めて絶対につくらせない決意だと都には申し伝えてある」「平成27年に見直す際は消去されるべき」「都の計画はもともと無茶だった」と、痛快なほど断言した。

2000年答申にこの区間を盛り込んだ際は、ゆりかもめを湾岸部という郊外から勝どきまで建設し、そこから都心側は都営大江戸線に乗り継げばよいとの判断だったのだろう。その後15年が経過し、勝どき駅の混雑と今後のさらなる利用増を考えたら、とても現実的ではない。副区長の答弁は至極もっともだ。

ならば、勝どきからさらに都心側へ延伸し、新橋・有楽町・東京のいずれかに結節できれば存在価値が出てくるが、それに対しても以下の答弁がされた。

「勝どきからさらに都心部に行く見通しも立っていない」「晴海通り・月島・佃大橋・築地・銀座、いずれを通すにしろ風景として問題があり地元は受け入れない」

ゆりかもめを既存計画通りに勝どきまで延伸し、さらに幹線道路の上空を通して都心へ延伸することを願っている人も多い。しかし、密集市街地の沿道環境を考えると、高架構造物を建設する地元合意を得るのは無理だろう。

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