安倍内閣の「本質」を読み解いた
ベテランジャーナリストが明かす
報道番組の「内幕」と定年後「再雇用」記者の意地

田崎 史郎

宮根氏 田崎さん、本を出したんですって?
田崎  (本を手に持ち、題名を読み上げた後)自分の今の力を出し切ったと思っているんです。
宮根氏 誰が?
田崎  私が、です。テレビで話しているよりも、原稿を書いている方がふさわしいことに、書いていて気づきました(笑)。
宮根氏 僕らも読みまして、官邸がどういうところか、知っているようで知らない。安倍さんが日頃何をされているか、読むと分かりますよ。官邸とか、総理がなぜあんなにゴルフするのか、ということも書いてある。
田崎  きょう、重版が決まったんですよ。

この間、カメラは私の本をアップでたびたびとらえていた。放送していた時間はほぼ1分間だった。うち30秒は番組のエンドロール(出演者・制作者・協力者などの氏名を流れるように示す字幕)が流れていた。そんな短い時間であっても、アマゾンのランキングは2ケタ番台に急上昇した。

ありがたいことに、宮根さんも、ひるおびの司会者、恵俊彰さん、八代英輝さんも、それぞれ本を読んだ上でコメントをされた。それが視聴者を「買って読んでみようか」という気持ちにさせたのではないかと思う。

出演時間8秒の悲哀

この経験をするまで、私は本の購買層と、テレビの視聴者層は違うのではないかと思っていた。それは、浅薄な考えだった。テレビの報道・情報番組を見る人たちは、そもそも情報に対して敏感な人たちであり、本も読んでいる人たちなのだ。

私のテレビ出演は、2006年10月から始まった。フジテレビが土曜日午前に始めた「知的冒険 ハッケン!!」(08年6月まで)でレギュラーコメンテーターに起用された。

そのきっかけは06年7月、橋本龍太郎元首相が亡くなられたことだった。フジテレビの報道番組から「橋本さんの思い出を聞きたい」という連絡が入り、旅行先から急遽戻り、自宅でインタビューを受けた。この時が初めてのテレビ出演で、我が家はまさに上を下への大騒ぎになった。家内はテレビ局員の人数分の茶菓子、飲み物を買ってきて、もてなした。

収録ではあれやこれやと聞かれ、約1時間かかった。それで、楽しみにして番組を見たら、私の話は8秒ほどだった。家内とともに、がっかりしたのを覚えている。さらに驚いたのは謝礼がなく、いただいたものは貸した本とともに送られてきたフジテレビのタオル1本だった。「こういう場合、謝礼は出ないものなのでしょうか」と直接聞くのも気がひけるので、他のテレビ局の友人に尋ねると「報道番組でインタビューの謝礼は出していませんね」という答えだった。