最終決定! 立派だった日本人(1945年~2015年)ランキング&第一位スペシャル・インタビュー——我々を励まし勇気づけてくれたのは、この人たちだった

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ファンあってのプロ野球だということを、僕は昔から言ってきた。ファンに対して選手は何をしたらいいのか? どうしたらファンが楽しみながら試合を観られるのか? そういう気持ちを、若い頃からもっと強く持つことが大事なんだ。

ましてや6年後には、東京で2度目のオリンピックが開かれる。そこまでに何とかもっと高くステージを上げて、ファンに「野球とは素晴らしいものだ」ということを広く認知してもらうことも必要でしょう。結果的に野球が五輪種目になるかは別問題として、今やっている人たちがそれをもっと真剣に意識すること。それが大事じゃないかな。

そういう意味で大谷はプロ野球の財産ですよ。彼のことが気になるのは、パ・リーグのファンだけじゃないですから。その魅力をもっとレベルアップしていくにはどうしたらいいかというと、さっきの話になるんだ。僕はもうピッチングだけでいいと思うね。バッティングもいいけど、ピッチングにはもっと味がある。その味をもっと深く出してもらいたい。年齢的に若いんだから、もっとその味わいを深化させて、パ・リーグのピッチャーというよりも、日本のプロ野球をもっと高みに上げるぐらいの意識を持って欲しいね。僕はそのことを彼に期待するな。

このほど国際オリンピック委員会(IOC)が開催国に種目提案の権利を認めたことで、'20年の東京五輪で野球とソフトボールが復活する可能性が高まってきた。

アテネ五輪の日本代表監督だった長嶋監督は'04年3月、脳梗塞に倒れ、本大会の指揮は執れなかった。厳しいリハビリを乗り越え、奇跡的な復活を遂げた今、五輪に対する思いは一層強い。

オリンピックとWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)はやっぱり違う。オリンピックは遥かに遠いところにある。特別ですよ。だから野球選手ばかりでなくアスリートにとってオリンピックに出てプレーをする、ということは人生において最高の喜びなんだ。そのオリンピックから野球が外れてもう6年。復活の可能性が出てきたのは、明るい話だね。

日本球界は松坂世代と言われた選手たちの時代が長くあり、今はヤンキースの田中(将大)や巨人の坂本から下の若い世代の選手がいっぱい出てきている。将来への非常にいい展望があるんです。

やっぱりそこで思うのは、若い選手たちがプロとしてまずファンのことを考えて欲しいということです。その意識を持って日の丸を背負って戦い、その意識をそれぞれのチームに持ち帰って広めていく。私が「伝道師になれ」というのはそういうことです。そこで野球に対する国内的な気運が盛り上がれば、オリンピックを含めてもっと、もっと野球の活性化につながる。「野球をやるんだ」「プロ野球で活躍するんだ」という子供たちも出てくる。

だからまず、若い選手たちが強くファンを意識する心を持つことだね。ファンのための野球をするにはどうしたらいいか—その気持ちをもっと強く持ってほしい。それがこれからの野球界にとって非常に大事だと、僕は思いますね。

「週刊現代」2014年1月3日・10日合併号より