【沿線革命011】
湾岸の交通を劇的に良くするBRTのルートと運行私案

阿部等(交通コンサルタント)

徹底的に便利なBRTとは?

虎ノ門-新橋-晴海-ビッグサイトのルートでBRTを運行するとして、私が思い描く徹底的に便利なBRTを綴ろう。

安全であることは当然として、利用者目線で利便性やサービスに関わる重要なことを列挙する。
 1)ルートやバス停の位置が分かりやすい
 2)出発地から最寄りバス停が近い
 3)目的地と最寄りバス停が近い
 4)所要時間が短い
 5)待ち時間が短い
 6)運賃が安い
 7)混まない
 8)座れる

1)のために、虎ノ門-新橋-晴海-ビッグサイトをベースとしたシンプルなルートとし、バス停を街の中で目立つデザインとする。

2)と3)のために、バス停の間隔はあまり長くしない。ただし、虎ノ門-築地はトンネルなのでノンストップとする。晴海選手村へは分岐便を設定する。他にも分岐便を設定した方が良いルートもあるが、話が複雑にならないよう、ここでは晴海選手村のみとする。

4)のために、バス専用レーンを設置する。環状2号線の全通直後は自動車交通量がそれほど多くなく、その社会的合意をまとめやすい。社会の理解を得るには、BRTを充分に便利にして利用を多くしなければいけない。また、優先信号を設置し理想的にはバス停以外での停車をなくす。さらに、停車時間を最小化するため、運賃収受は車内でなくバス停で行う。

5)のために、高頻度運行とする。本数を増やすほど車両費・燃料費・運転手人件費がかさむので、「便利にするほど利用は増え、売上げも増える」の発想が欠かせない。

6)のために、実は4)が効果的である。同じ運行本数に対して、所要時間が短いほど車両も運転手も少なくて済む。

7)のために、充分な輸送力を持たせる。1車線当たりの運行本数を増やすには、バス停で詰まらないように停車時間の最小化が有効で、乗降人数が多いバス停は縦列停車できる構造とする。折返しターミナルの効率的な運用も欠かせない。

8)のために、充分な輸送力を持たせると同時に、座席の多い車両としたいが、それでは輸送力が下がってしまう。【沿線革命004】で提案した着席割増料金を導入し、「座って高く払う」と「立って安く払う」を選択できることが好ましい。

虎ノ門-新橋-晴海-ビッグサイトBRTの勝手ダイヤ

以上の8項目が理想的に実現できたと仮定した場合の、私の「勝手ダイヤ」を示す。

運行系統は、虎ノ門からビッグサイトと晴海選手村、新橋からビッグサイトと晴海選手村の計4つとする。

バス停間の表定速度(距離を、停車時間を含む所要時間で割ったもの)をそれぞれの区間の走行環境から推定し、4系統の所要時間を試算した。専用レーンと優先信号によりバス停以外では停車せず、車内での運賃収受はなくバス停での停車時間は最小とした。


4系統それぞれを、朝ラッシュは2分おき、夕ラッシュは3分おき、昼と土休日は5分おきで運行するとしよう。

虎ノ門と新橋のどちらからもビッグサイト行きと晴海選手村行きが1本おきに、ビッグサイトと晴海選手村のどちらからも虎ノ門行きと新橋行きが1本おきに、高頻度に出発する。4系統全てが運行する築地-晴海は、朝30秒おき、夕45秒おき、その他1分15秒おきの運行となる。

これだけ高速かつ高頻度とすれば、現行の都バスと同じ低い分担率になるはずがない。湾岸部のタワーマンションに住めば、どこへでも便利に出かけられ、マイカーがいらなくなる。中央区が定めた基本理念どおりに車依存は低減され、人と環境にやさしく、まちの魅力を高める交通を実現できる。