【沿線革命010】
銀座-晴海のBRT計画の需要予測に問題あり!

阿部等(交通コンサルタント)

『中央区総合交通計画』の基本理念・目標・施策を実行しよう!

以上の3点以外の②④⑦⑧も、便利な交通サービスを実現すれば利用は増えるとの視点に立てば過少算定である。

【沿線革命009】で紹介した2012(平成24)年6月策定『中央区総合交通計画』(http://www.city.chuo.lg.jp/kankyo/keikaku/sougoukoutsuukeikaku.html)の基本理念・目標・施策の抜粋を示そう。

4目標のうちの2までと対応する施策を抜粋した(2012.6『中央区総合交通計画』より)
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基本理念の副題「公共交通の利便性をさらに高め、クルマ依存の低減をめざして」は素晴らしいし、現在及び未来の住民も就業者も来訪者も強く願っているはずだ。だからこそBRTを導入するのであり、その分担率が4%強では目標を達成できない。

『考え方』の過少なBRT需要予測では、高層のタワーマンションのほぼ全戸が駐車場を持ち、高層オフィスへの通勤者の大半が自動車通勤できるだけの駐車場が整備される、そんな街が形成されてしまう。

そうではなく、『中央区総合交通計画』の基本理念・目標・施策がその通りに実行されることを強く求めたい。便利なBRTが運行し、湾岸部の住宅から都心への通勤・通学も、他地域から湾岸部のオフィスへの通勤も遊び場への来訪も、自動車利用が抑制されることを多くの人が望んでいるはずだ。

湾岸部の交通の改善に向け前向きな議論を!

『考え方』は、学識経験者・国・都・警察・バス事業者・住民代表・区関係部署が参加し時間を掛けて議論を重ね、さらにパブリックコメントを受けて修正した上で策定されたものだ。

それに対して、「明らかに需要予測が過少」「これを前提としたら大変なことになる」と断言した。関係者を非難するためでは決してない。湾岸部の未来のため、2020年東京五輪成功のため、大袈裟に言えば日本の未来のためだ。

BRTを徹底的に便利なものとし、湾岸部と都心の間の行き来のもっと多くの割合を担うように需要予測を改め、BRTだけで賄えないなら他の交通システムも加え、湾岸部を真に「住みたい街」としたい。今回の指摘が、そのための前向きな議論に結びつくことを願っている。

湾岸部の公共交通に対する需要はもっとあるとして、どれだけあるのか? BRTは中央区だけでなくもっと広域の交通とすべきでは? 都心側のターミナルは? BRTだけでは不足するとしたら、どうしたら良いのか? LRTにして輸送力を大きくする? ゆりかもめの延伸? ロープウェイ? 地下鉄? さらに、豊洲から住吉への地下鉄構想は?

次回以降、読者の皆様の疑問に順々に答えていこう。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
毎回、多数の方がツイッターその他で拡散下さり、ありがとうございます。
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