第107回 大塚明彦(その一)オロナミンC、ボンカレー・・・・・・大ヒット商品を生む大塚製薬の黎明期

福田 和也

全社一丸となって、食料品店や雑貨店、酒店、鉄道や病院の売店、大衆浴場、パチンコ店、ゴルフ場と、販路を開いていった。

また、バーやクラブといった、夜の市場にも販促をかけた。

「酒を飲んだ人に疲労回復のために薦められます。酒の弱い人にはオロナミンCをベースにいろいろなカクテルをつくることができます」と、店の人をくどいていったのだ。

宣伝には、庶民派人気コメディアンの大村崑を起用。

大塚HD、上場 '10年、大塚HDは東証1部に上場し、大塚明彦会長(当時)が東京証券取引所で鐘を打った

「おいしいと眼鏡が落ちるんですよ」というキャッチフレーズが使われた。
少し眼鏡を下げた大村崑が、オロナミンCドリンクの壜を持ち、その横に「元気ハツラツ」と大書されているホーロー看板を、私は今でも覚えている。

しかし、普通の瓶入りジュースが1本35円、250ミリリットルの缶入りコーラが50円の時代に、オロナミンCは1本100円。他社の栄養ドリンク150円を意識した値付けだったため、苦戦を強いられた。

その風向きを変えたのがオイルショックであった。他の飲料メーカーがこぞって値段を上げたのに対し、大塚製薬は最新の生産システムの導入によりコスト削減に成功し、100円の価格を維持した。
すると、急激に年間販売数が増え、1974年2億本、77年5億本、81年には10億本を突破した。

オロナミンCの素晴らしさは、現在も売れ続けていることだ。
味もパッケージもそのまま。価格は110円。発売から50年がたとうとしているのに、値上げしたのは、たったの一度だけだという。

現在テレビCMでは、嵐の櫻井翔が「元気ハツラツ!」のキャッチフレーズを口にする。若者が、普通に飲める飲料であることをアピールしている。
正士の社訓は、「わが製品がより多くの人々により多くの幸せを与えることを目的とする」であった。

その正士から明彦が会社を引き継いだのは、昭和51年。
ここから、大塚製薬は新たなステージに踏み出していくこととなる。

『週刊現代』2015年1月3・10日号より

 

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