【沿線革命008】交通イノベーションによる沿線革命元年、
朝日新聞の鉄道報道について考えた

阿部等(交通コンサルタント)

沖縄の未来を拓く交通

沖縄の中南部地域は、驚くなかれ、本土の三大都市圏と福岡以外の全ての政令指定都市より人口密度が高い。そこに鉄道系はモノレール13kmしかなく、自動車頼りで、那覇市の道路渋滞は全国最悪だ。また、那覇と北の拠点である名護を結ぶ鉄道建設への期待も高まっている。

昨年1年間、沖縄建設新聞「建設論壇」欄に『沖縄の未来を拓く交通』という連載6回(http://www.LRT.co.jp/file/140305okinawa.pdf)を持った。

利便性の高い鉄軌道は必ずや沖縄の明るい未来を拓くと確信し、低コスト・短期間で実行できる施策から費用が多額で工期も長くなるものまでを順に整理した。

具体的には、バス路線再編・モノレールの利便向上・中南部鉄軌道ネットワーク・南北縦貫鉄道を、どう便利かつ安上りなものとして実現するかの提案だ。

沖縄の関係者へ繰り返しご提案しても、残念ながら「さあやりましょう」とならない。「鉄道は収益性を期待できない」との考えがベースにあると、「利便性を高くすれば収益が上がる」「イノベーションにより高い利便性を低コストに実現できる」といった発想は生まれない。

「現行のバスと同様に鉄道を使う人はあまりいない」「運賃は高くしてはいけない」が前提で「収益性を期待できない」となり、地元は「赤字を負担できない」「国の補助金を充実させることが重要」、国は「巨額の赤字前提の事業は認められない」と接点を見出せず、実行に至れていない。

鉄道の未来を拓き「沿線革命」を実現するために

昨年の騒動により、「クオリティペーパー朝日新聞の言うことは全て正しい」などということは全くないと証明された。

私は、交通に関して、鉄道も自動車も実際に使い、多くの現場を見、データを追い、資料を読み漁り、多くの人の話を聞いた上で、「合理化と多角化こそが鉄道再生の王道」との言説は全くの誤りだと確信している。

「沿線革命」を起こして「住みたい街」を広げるために、日本の繁栄と人々の幸せのために、朝日新聞は、従軍慰安婦報道と吉田調書報道と同様に撤回・謝罪すべきだとすら思っている。

私は朝日新聞が真のクオリティペーパーに脱皮することを強く願っている。そのためにこそ、過去の誤った言説は虚心坦懐に撤回・謝罪して欲しい。

そして、鉄道を中心とした交通の関係者が、知恵を働かせ努力を重ねれば「鉄道は収益性を期待できる」「自分たちも儲かるし社会にも貢献できる」と発想し、各所で交通の利便向上が進むようになることを願っている。

今年の【沿線革命】は、それを後押しできるよう、交通に関わる計画や構想を解説し、新たな提案を紹介していく。

それにより、2015年を「沿線革命元年」とすることを正夢としたい。

毎回多数の方がツイート下さっている。ツイート以外でも、読者の皆様の自由な質問や意見や情報をお受けしている(http://light-rail.blog.jp/archives/1014464871.html)。すべての投稿に目を通した上で以降の執筆の参考とさせていただく。

阿部等(あべ・ひとし)
1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。