【沿線革命007】
勝どき、晴海、豊洲・・・人が急増する湾岸部の「鉄道不足」の将来

阿部等(交通コンサルタント)

湾岸部は遊ぶ場も増える一方

豊洲新市場には、卸売り等の市場施設の他に、「食」を中心とした「にぎわい」を創出する「千客万来施設」1.7万㎡(1.7ヘクタール)も建設される。

千客万来施設は人が集う場になる(東京都HPより)

30年間の定期借地権方式による民設民営で、2014(平成26)年2月に、事業予定者は「すしざんまい」の(株)喜代村その他と大和ハウス工業(株)に決定され(http://www.shijou.metro.tokyo.jp/press/25/image/senkyaku/gaiyou1.pdf)、年間来場者数を約420万人と見込んでいる。

また有明地区は、五輪後も多数の競技施設が残り、スポーツ観光エリアになるだろう。さらに、お台場にカジノを誘致しようとの構想もあるが、舛添都知事が積極的でなく実現性は不透明だ(http://digital.asahi.com/articles/ASG8R5222G8RUTIL00R.html)。

以上のように、湾岸部は、住宅も職場も遊び場もどんどん増え、住む人も訪れる人も増える一方だ。

鉄道に恵まれない臨海部

一方、この地域の鉄道ネットワークは現状では充実しているとは言えない(http://yahoo.jp/NRA61T)。

勝どき・月島・晴海・豊洲地区への鉄道は、大江戸線の勝どきの他に有楽町線の月島と豊洲しかない。他に新交通システムとして、ゆりかもめの市場前・新豊洲・豊洲があるが、新橋に出るには大回りとなり、豊洲地区と都心を行き来する交通としては機能していない。

有明地区には、臨海高速鉄道りんかい線の国際展示場とゆりかもめのいくつかの駅があるが、有楽町・東京方面の都心とは直結していない。

鉄道が充分でない分、路線バスに頼る部分が多い。鉄道空白地帯の晴海へのメインは都バスで、晴海通りの勝鬨橋を渡る系統が5系統あり、都心側は有楽町(銀座)・東京・新橋と結んでいる。有楽町(銀座)との間は、東15を除く4系統併せて約370往復と山手線より多いほどだ。

湾岸部と都心を結ぶ晴海通りには都バスが多数運行している(2013.1.22中央区地域公共交通会議 第3回基幹的交通システム部会資料より)
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この他に、日立自動車交通(株)の晴海ライナーが晴海トリトンスクエアと有楽町・東京・日本橋を結んでいる(http://www.hitachi-gr.com/o_info/HARUMIliner.html)。

近年、東京駅周辺の放置自転車が急増し社会問題化したのも、湾岸部の開発が進んだ一方で鉄道が充分でないことが影響している(http://cyclist.sanspo.com/83939)。

今の交通状況のままでは、東京五輪時の観客や選手・役員の輸送もままならず、居住地・就業地としての湾岸部への期待も一気にしぼみかねない。