あなたも今日からシャーロック・ホームズ『卒アル写真で将来がわかる』

その経験値について科学者や心理学者、あるいは社会学者が興味を持ち、様々な実験を行うようになってきた結果、ビッグデータとして集積され始めている。ことわざなどで言われている、時として図星を射抜く物事は、人が感じられる一種の裏付けがあってのことだった。

男性の顔の縦と横の比率から、その人間が持つ凶暴性がわかり、大きい会社を率いる能力があるかが判断できる。女性のウェストとヒップの比率から繁殖率や生存率の違いが判ると聞けば「ウッソー!」とちょっと前の女子高校生のように叫んでしまう。

言うまでもないが、真ん中が排卵日。

女性として特に興味を持ったのは、第2章の同性愛者を見分ける能力についてだ。異性愛者は同性愛者を見分けることがなかなかできないが、同性愛者は同じ同性愛者を、ほぼ確実に見つけられるという。(ゲイを見分けられる能力をゲイダーというのだそうだ。これまた初めて知った名前である)また、女性は生理周期によってゲイを見分ける能力に違いが出るそうだ。そのグラフはこうなる。1回のセックスも無駄にするな、ということか。

本書に書かれたことをすべて見つけたとしたら、まさに現代のシャーロックホームズになれるだろう。実際、嘘を見分ける能力を超人的に備えている人は実際存在する、と本書では説明している。“真実を見抜く魔法使い"は15,000人に50人ほどの割合でいるそうだ。幼いころにそのことに気づき、まわりから不審に思われなように生きてきた女性は、孤独感にさいなまれていたが、そういう人は一定に存在していると知り、安堵のあまり泣き出してしまったという。

ただし、この本はアメリカ人に対してのデータであることは忘れてはならない。今はどうなっているか知らないが、その昔の私たちの時代、卒業アルバムに載る一人一人の写真は没個性が当たり前だった。同じ制服で真正面からカメラを見据えるか、気を付けをしての集合写真で、笑うことなく怒ることなく、顔をまっすぐにして動かさないもの。そういえば、運転免許もパスポートも、日本人の写真は笑っていないと言われる。交通安全協会で撮られる写真は、まるで前科3犯のようで最悪だ。

日本の場合、大きな事件や事故、犯罪があったとき、加害者も被害者も最初にマスコミに登場する写真は卒業写真であることが多い。あの写真からも何かを得ることができるのだろうか。著者は日本における実験も試みるそうなので結果が楽しみだ。

面白すぎる本には注意が必要だが、本書は果たしてどれだけ信用できるだろう?マユにツバを付けつつ、一読をお薦めする次第である。

卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学

作者:マシュー ハーテンステイン
出版社:文藝春秋

内容紹介
卒業アルバムから将来が見抜けることを発見した気鋭の心理学者が明かす、意外な「未来を見抜く手がかり」が満載!

『ノンフィクションはこれを読め! 2014』HONZが選んだ100冊
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
内容紹介:キルギスの誘拐婚から現代宇宙論まで、嫌われる勇気からヤクザなキリスト教史まで、世界の"今"を紐解く、ブックガイド!ノンフィクション書評サイトHONZ厳選の100冊。

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