「親しみを増すことで熟成する関係の価値を信じたい」---ビジュアルコミュニケーションアプリ「Picsee」運営のディヴィデュアル代表・遠藤拓己氏に聞く

佐藤 慶一 プロフィール

メッセージアプリや写真共有アプリは一見競合とも思えるが、「世界から言葉が要らなくなることはないし、ストレージに特化したサービスのニーズも大きい。複数の良質なサービスがユーザーのニーズに応じて補完関係を築いていければいい」と遠藤氏。テキストコミュニケーションの場合は用事がないとコミュニケーションがはじまりにくいが、Picseeでは自分の好きなものや誰かに共有したい世界を切り取ることで、コミュニケーションをはじめることができる。

「インターネットは実世界の豊穣さに対してまだまだ人工的。ぼくたちは技術よりも人間的な価値にフォーカスすることでインターネットを人間の自然に近づけたい。ブドウが発酵することで芳醇なワインが作られるように、インターネットもたくさんの良質なプロダクトの作用によって徐々に発酵を進め、今よりももっともっと居心地のいい場所になっていけばいいなと思っています」

ビジュアルコミュニケーションには言語の壁がない。「言葉よりも速く、たくさん伝わる」というタグラインのとおり、ビジュアルであれば速く伝えることができ、遠くにいる人とも親密さを深めることが可能になるかもしれない。そういう意味では、世界展開に向けてリリースされているインターナショナル版にも期待がかかる。

海外展開については、ニューヨークのスタートアップシーンをたびたび取材しているボタニカルデザイナーでAtelier RE代表の江原理恵氏がコミュニケーションディレクターとしてコミットしている。また、2015年春にはAndroid版を提供予定だ。

最後に、Picseeというアプリについて、共同創業者のドミニク氏はブログで「『親しみ』をインターネットに実装する」というエントリーを書いている。実際にそれぞれのユーザーがだれかと親しみを醸成し、それがネットに実装されることで人間らしいコミュニケーションが増えるだろう。今後しばらくはプロダクト/ユーザーファーストで開発・運営を進めていくという。

12月にリリースされたバージョンではグループへの招待に少し難があったが、1月9日にはアップデートを実施。FacebookやInstagramを利用する友人を一覧してグループに追加したり、アプリに招待することが可能になった。また、使い方をガイドするチュートリアルが表示されるようになる。次のアップデートでは、複数写真の一括アップロード機能も追加する予定だ。

テクノロジーが普及した先に残る人間らしさとはなにか。それを発揮できる場所はどこか。ビジュアルコミュニケーションがもたらす価値や、インターネットが少しずつ人間の自然に近づいていく流れを長い目で注目していきたい。