田村耕太郎【第5回】加速するアジア全体の中国経済への依存と日本経済の縮小

『シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ』より
田村 耕太郎 プロフィール

日本と中国を競わせてインフラを建設させるインドの賢さが目立つが、中国にとってはこれくらいの金額は屁でもないだろう。なにせ400兆円を超える世界1の外貨準備を抱える国である。中国が設立するアジア・インフラ投資銀行(AIIB)は、日本が唯一トップをとれる国際機関であるアジア開発銀行(ADB)をアジア地域で蹴散らす目的があるといわれる。数年内にADBよりずっと大きくなると見られるAIIBへの、アジア各国の期待は大きい。未熟な自国のインフラを中国に作ってほしいという期待があるのだ。

日本と関係が深いシンガポールもいち早くAIIBに期待を表明し、その設立メンバーに名を連ねている。こうやってインドもASEANも、その軍門に下るかもしれない。

オセアニアのアジア化は進み、アジア全体の中国経済への依存が進む。中国の購買力でオセアニアを抑え、中国の巨大な外貨準備を背景にインフラへの投資でASEANとインドをおさえる――。

韓国も1人当たりGDPで日本より豊かになるとの予測が現実になれば、朝鮮半島情勢の変化や巨大な中国経済との連携で、日韓関係もあまりいい方向へいかない可能性もある。

我々の人生の後半や我々の子供たちの世代は、日本経済の10倍近いサイズになった隣国と向き合わないといけなくなる。世界最大の経済に対して、ポピュリズムに振り回されるアメリカがどういう態度をとるか、そこはいわずもがなだろう。もちろんそのころには軍事支出でも、巨大な隣国がアメリカを凌駕している可能性が高い。

(本書に続く) 

シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ
田村耕太郎著

(PHPビジネス新書、983円)

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