一方で商業的なマーケティングについては、アンコントローラブルな方針を掲げていたのが印象的だ。 NASAは、メーカーが月ミッションで果たしている役割をPRすることを許しただけでなく、NASAの写真を企業の宣伝広告で自由に使うことまで認めていたという。このアプルーバルの寛容さなどは、時代のなせる技といったところか。
このようなNASAの体制に最大の追い風を与えたのが、TVにおける放送技術の進化であった。どれほどイノベーションな出来事であっても、決定的瞬間を映像で表現することには難しさがつきまとう。事を成し遂げるためのビジョン作成やイメージ共有の過程においても、リアリティ溢れる映像が作成され、何度となく多くのヒトの目に触れることになるからだ。それはすなわち、既視感との戦いなのである。