『月をマーケティングする』PDCAを回し続ければ、人類は火星に行けるのか。

(上)ヒューストンの有人宇宙飛行センター第一ビルに設けられた報道本部
(下)有人宇宙飛行センター講堂を出たところにあるロビーの様子

NASAの広報は宣伝ではなく報道であるというスタンスに立ち、新聞・雑誌や放送局で働いた経験のある人材を積極的に採用したのだという。須らく文章を書くのが上手く、媒体がどのような論理で動いているかという感覚に優れていた人物ばかり。この戦略が「開かれた広報」というスタイルを形作り、NASAとマスメディアは蜜月の時代を迎えることになる。

アポロ宇宙船に関するニュース資料。その完成度の高さに驚く。

一連のプロジェクトにおいて、何をコントロールしようとし、何をコントロールしなかったのか。そういった観点から各フェーズを眺めていくと気付きが多い。象徴的なのは、図らずも英雄視されるようになった宇宙飛行士をどのようにブランディングするのかという観点である。宇宙に飛び立つ戦士としての位置づけだけではなく、一人の夫として、父親としてどのような人物像を持つのか、ここを徹底的にコントロールしている様子が本書からは伺える。