『月をマーケティングする』PDCAを回し続ければ、人類は火星に行けるのか。

月面の土が入った環境標本容器を持つパイロット

銀河系への道のりは、フィクションとノンフィクションが橋渡しされるように切り開かれてきた。SFや映画が想像力を刺激することで土台を作り、1952年コリアーズ誌で「人類がまもなく宇宙を征服する」という特集を組んだことが新たなパーセプションを生み出す。印象的なイラストが目を引いたことはむろん、「未来の戦争に備えて宇宙から国を守るべきだ」という発想が誕生したのである。つまりSFが世界観を作り、ジャーナリズムが実現可能性を世に問うたというわけだ。

3人の画家によるイラストが印象的なコリアーズ誌の宇宙特集

そのような気運の高まりの中、1958年NASAが正式に発足する。前年にはソ連がスプートニク1号を打ち上げており、余韻も冷めやらぬ中での出来事であった。この発足間もない時期に編み出されたメディア対応は、現在ブランド・ジャーナリズムやコンテンツ・マーケティングと呼ばれるものにも非常に近い。時代に先駆けた先進的な取り組みというより、この事例を基盤に現在のマーケティングが構築されたと言った方が正しいだろう。