『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』巻末特別対談:成毛眞×田中里桜 科学の研究って役に立つの?

田中 むしろ思考回路は文系に近いかなと思います。国語とか社会とかが好きで、特に政治経済とかが一番相性がいいというか。

成毛 僕も数学、苦手なんですよ(笑)。それで政治経済のほうが相性がいいんです。ただし政治経済でも感情論じゃなくて、論理的にちゃんと因果関係が立証できるようなものは面白いと思っているんです。にもかかわらず、社会人になって普通の仕事をしていると、「成毛さんって理系の出身ですよね」って必ず言われる。だけど、数学できないんですよね(笑)。日本というのは、理系と文系って分けるでしょう。全然違う人種のように言われちゃうんだけど、何かちょっと違うように思いませんか。

田中 思います、ほんとに。文系の考え方で理系のほうに応用できる考え方というのもあるし、逆に理系の考え方で文系のほうに役立つというものもあるなと思いますね。だから、むしろふたつはつながっているふうに感じます。

成毛 逆にいうと、日本にはサイエンスが特別だと思っている人が多いじゃないですか。サイエンスをやるのは「変な人」みたいな言われ方をする。

田中 確かに、ちょっと浮くっていうか(笑)。

成毛 でもそうじゃないんだというのが、この本を読むとわかる気がするんですよね。

田中 ほんとにそうだと思います。

成毛 音楽とかスポーツにはコンペティションがあって、科学についてはこのサイエンス・フェアが才能を見出すための仕組みとしてあるんだけど、これ以外には大学受験ぐらいしかないじゃないですか。僕、大学受験とTOEICって似てると思っているんです。TOEICっていう英語の試験がありますが、あれ、試験のやり方を先に勉強してください、といいますね。テクニックを先に覚えないと、うまく点数を取れませんって。大学受験ってそれとあまり変わらなくて、テクニックがけっこう大きい。

田中 受験勉強って、自分の行きたい大学に入るためだけのもので、受かったら終わり、という気持ちがあるじゃないですか。でも、大学での時間をどう使おうかと考えるようになると、大学受験の勉強自体も、大学に行った先の準備として必要なものだと思うようになりました。ISEFの審査で、世界の一流の科学者の先生がどういうふうなものの見方で問題を見つけて解決しているのかを知ったときに、自分がどういう仕事をしたくて、そのためには大学で何をやる必要があるのかということに、はじめて意識が向くようになったんですね。それまでは自分では考えていたつもりでしたけど、ああ、今までほんとに何も考えていなかったんだなあって。それがISEFに行く前と後の大きい変化だと思っています。

成毛 日本代表を決めるためのプロセスではそんな感じはなかったですか。