2014年も残すところあと二日、「オックスブリッジの流儀」の連載も16回を終え、本年最後となりました。節目となる今回と新年幕開けの次回では、本連載を始めたきっかけや今後の展望、オックスブリッジの100人が本当に伝えたいことを改めて明示するという特別回をお届けします。
本号では、オックスブリッジ100人委員会内での議論や読者の皆様からのご質問・ご感想等を通して見えてきた事をもとに、「『オックスブリッジの流儀』の誕生から今までを振り返って」というテーマで、英国に滞在する3名のメンバーがケンブリッジ大学キングズカレッジにて議論した様子をお伝えします。また、次回は「これからの展望を見据える」というテーマで、東京で開催された座談会の記録をお楽しみいただければ幸いです。
そもそもの発端という意味では、城口が今夏(2014年)、ケンブリッジ大学日本人会の集まりにて「ケンブリッジの合格体験記本を作り、日本の学生・若者にもっと目指してもらえる場所にしましょう!」と言い出したのが始まりでした。そこへ同席していた重本がオックスフォード出身という事もあり、両校を併せて包括的な書籍作りを目指すのが良いのではないか、という提案をしたことで、オックスブリッジ書籍化プロジェクトが始動しました。
城口: 日本でもスーパーサイエンスハイスクールの高校などからケンブリッジへの春期・夏期研修や修学旅行なども行われ、国としても「グローバル人材」の育成を目指す中、高校生の間では海外大学進学への興味の増加と共に、十分に合格できる実力のある学生も増えてきています。
しかし、そういった高校生や親御さん、ならびに先生や教育関係者のみなさんからよく聞かれる声として、「ハーバードをはじめとする米国の大学については情報も出回るようになってきており、我々としても現実味を帯びた進学準備を進められるようになってきていますが、英国大学、特にオックスフォードとケンブリッジに関しては情報が手に入りません」というものがあります。
確かに私自身も、東京大学の合格体験記や受験教本、ハーバード流○○といった書籍が溢れている昨今の日本で、オックスブリッジに関する本はほとんど目につかない事が気にはなっていました。ですので、そうしたノウハウを「出版」することで、将来の留学を目指す人たちに役立てれば、と思い、本企画を提案しました。
重本: 私自身もちょうど留学関連の事業をお手伝いさせていただいたり、個人的に留学の相談をいただく機会が増えてきていたので、オックスブリッジに特化して日本人学生のための留学のいろはをまとめられたら、価値があるものが出来上がるのではないか、という提案をさせていただきました。そうこうしているうちに、城口さんが「オックスブリッジの同窓生を100人集めよう!」と、まだ有志10名程度の頃にもかかわらず「オックスブリッジ100人委員会」という団体が誕生してしまいました(笑)。
河野: 初めてこのお話を聞いた時は、「100人はちょっと集まらないだろうなぁ」と思ったのが本音です(笑)。しかし、実際に初めてのミーティングで他の同窓生の方々と顔合わせをして、日本の学生の選択肢や可能性を拡げたいというこの企画に込められた思いの真剣味を感じました。そのくらい、オックスブリッジ同窓生が一同に会して何かに取り組むという事は、史上初(?)だったので、新鮮でした。食事会などの交流はしばしば行われているのですが、こういった社会に向けて何かを発信するプロジェクトは僕の知る限り初めての経験です。